幼い頃から男子が苦手だった。
いつも何か理由をつけて言葉でいじめてくる男子らが
私に「怯える」という感情の苗を植え付けた。
そんな私には女子の親友が初恋だったかもしれない。
毎日、相談に乗ってくれる彼女が恋しくなった。
しかし、彼女は一人の女性。
親友の彼女は私の苦手なある男子に恋をしていた。
私以外に、親友にもあの男子はからかっていたのに。
何か惹かれるものがあったのだろう。
そう思うしかなかった。
バレンタインの前日。
親友は私にだけ打ち明けた。
「明日、あの人にチョコを渡す」と。
私は深いため息をついた。
でも、「やめておいたほうがいいよ」なんて言えない
だから私は彼女におまじないを教えた。
「寝る前に鏡に向かって次のように唱えるの。
『こっちに恋。
私しかあげられないものをあげるから。
こっちに恋、こっちに恋。愛にきて』
小さい声で誰にも聞かれないように言うのがオキテ。
もし聞かれたら、恋は幸運の愛を持ってこなくて
不幸の毒を差し出してくるよ。気をつけてね」
そのおまじないは私の即興で作った出まかせだった。
でも、翌日の朝。
親友はおまじないは無事にやり遂げたと思うと
自信満々に言った。
そして、私の即興は恋の実まで作り上げてしまった。
二人はさくらんぼになった。
私はひとりぼっちになってしまった。
そう思っていた。
親友は彼氏を連れて私に言いに来た。
「もう、大丈夫だよ。こいつに言ってやったから」
「え?何を?」
親友の彼氏は俯きながら言った。
「今まで悪かった。これからはもう、いじめない」
私は笑顔で親友の彼氏にこう言った。
「ありがとう、これからはよろしくね」
ある歌詞と巡り逢って私の人生は大きく変わった。
その曲を教えてくれた旧友に出会ってなかったら、
私の目標は変わっていた。
いや、目標というものに出逢えず混乱していただろう
あの曲の歌詞に出会った私は、文章を書き始めた。
そして、さまざまな曲を聴くようになった。
新たな歌詞との巡り合わせにより私は救われた。
そして、小説の魅力に取り憑かれている。
巡り逢いは人を変える時があるから怖い。
だけど、その出逢いによって人は明日を知るのだ。
初めての一人旅は、どこへ行こう。
国内か海外か。
小さい頃に夢見たディズニーに出てくるような街に
行ってみようか。
プリンセスみたいな恋は難しいのはわかってる。
でも、新しい何かがこれからの未來の鍵を握っている
と少しの不安と大きな期待を胸に冒険に出ようかな。
「応援してる」って君が耳元でささやいてくれたのが
何よりも励みになったよ。
「好きだよ」くらいのモチベーションが上がる薬。
独りよがりの片思いだから、
愛の言葉なんて言ってもらえないのはわかってる。
だけど、影で見てくれてると思うと
不真面目ではいられないよ。
楽しく懸命に取り組む私を見てほしい。
少しでも見方が変わればこの恋の方向が
プラスに変わるかもって勝手に思う私が少しニクイ。
私が幼稚園児の頃、名前も知らない大道芸人が
影絵を披露してくれた。
いつも違う動物で、いつも違う種類のお話で
彼は私たちを楽しませてくれた。
私もいつかそんな風に人を楽しませる人になりたくて
こっそりと大道芸人の男性に聞いてみた。
「どうしたら、あの動物は生まれるの?」
その男性は答えた。
「あの子たちはね、僕たちの手の中に住んでいるんだ。
だから今すぐには君のお友達にはならないかもしれない。
でもね、一つだけ方法を教えてあげよう。
いい子にしてたらとかそんな簡単なことではなく、
誰か寂しそうにしてる人を見つけたら
自分がお日様の影になるようにこの子を手で作って
ぴょこんとその人の目の前で、話しかけてごらん。
そしたら、君の手の中に君だけのお友達が沢山できるよ。
大丈夫、君ならできる。
僕の手の中に住むお友達と仲良くしてくれたから。
その優しい気持ちがお友達とつなげてくれるんだよ」
そう言ってその人は私に
手で作るウサギの影絵を教えてくれた。
そしてその影絵は私の好きな男性の救いになって、
彼は私の今の旦那さんになった。
そして、年月は過ぎて私の幼い娘のお友達になった