春風とともに桜の花びらがらせんを描きながら舞っていたあの日。
桜のカーテンから犬が飛び出してきて私に抱きついた
すると高校生くらいのカジュアルな服を着た君が現れ
「すみません!」と言いながら、
慌てて私と犬を引き離そうとした。
でも飼い犬のフレンチブルドッグは私から離れない。
私の顔をぺろぺろする飼い犬を見て困惑した君が
可愛くて私はつい笑ってしまった。
そのとき、つられて笑う君の笑顔は桜が似合うくらい
何かの始まりを楽しむように瞳が輝いていた。
それが私の本当の初恋の始まりだった。
きっと、初めての一目惚れ。
私は社会人で年は五つくらい離れた二人だったけど、
年齢の壁は透明で、君とは同い年のように話した。
春風とともにやってきたこの恋は、
初めて犬を飼う理由になり、
初めて純粋な男の子に出会ったキッカケにもなり、
初めて心から共に過ごしたい人を見つけられた物語。
自分なりに努力を重ねてはいるけど
なかなか芽が出ない。
それでも自分の『好き』は変えられない。
やっぱり自分の『やりたいこと』は手放せない。
お金にならなくてもいい。
たった一人でもいいから誰かに「君の◯◯が好きだ」
と言ってくれる誰かの心に寄り添えるものを、
生み出したい。
「運命の人っているのかな」
かつての同級生が言っていたことをふと思い出した。
きっと彼女が言う『運命の人』とは未来の伴侶だろう
私もそう確信した。
人生という障害物競走で負けて、
いまだに伴侶を見つけられない今の私にとって
『運命の人』は恋愛とは限らないかもしれないと思う
負け犬の遠吠えではなくて、
私には私だけの夢があるから。
もし、『運命の人』にさまざまな説があるのならば
私の夢を共に叶えてくれる戦友であってほしい。
いつかはその人が『かけがえのない伴侶』になる
いつか出会える君を探しながら、
私は今日もは障害を乗り越える
幼なじみのあの子は自閉症で、言葉をうまく話せない
でも、彼女がいつも歌う週替わりの歌がある。
ほとんどが今流行りの曲だ。
言葉にするのが苦手だから歌詞はなく、
いつも「ラララ」でメロディを奏でる。
だから、メロディに真剣に耳を傾けないと曲名が思い出せない。
ところが、彼女の歌っているメロディから連想した曲は
歌詞を検索するとその曲たちには共通点がある。
メロディが個性的かつ歌詞に心の描写が存在すること
もしかしたら、彼女の頭の中には
いつも「言葉にならない想い」が存在しているだろう
あの日、周りにある桜はどれも葉桜だった。
ちらほらと桜の花びらが風で舞ってくる。
彼氏と別れたばかりの私に花びらが慰めてくれている
恋の盛りを忘れて花がらになった私には
風が運ぶ新たな「希望」が新しい恋の始まりだった。