ネジが外れたウサギ

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2/23/2025, 5:43:37 AM

「私が絵を描くから、あなたは物語を考えて?」

二人で一つの漫画家として今があるのは

夫婦で二つの生きがいを持てたのは

君が言ったそのひと言がきっかけだった。

あの日は、僕にとって激しい涙が降った最悪な日で

君が僕に励ましのつもりで言っただろう君の提案は

棚から牡丹餅のような初めて君と見た虹だった。

2/22/2025, 2:49:02 AM

夜空を駆ける流れ星のように

誰かの願いを叶えられるなら

私は亡き姉の実らぬ恋を叶えたい。


「姉はあなたの心の傘になりたいと言っていた。

その遺志を引き継いで悲しい時は

姉の書いた詩を読んでください。

きっと、あなたの救いになるでしょう」


姉の書いた詩は人生応援ソングみたいな内容が多いが

たった一つだけ明るい恋物語のような詩がある。

それを姉は死の間際に書いて私に託した。

姉の片想いの人、妻帯者のあの人に届けて欲しくて。

2/21/2025, 5:43:20 AM

「あの人、カッコいいよね」

そんな友達の一言は氷柱のように私の心に刺さった。

私が片思いをしている「あの人」。

そんなこと言えなくて

つい、「そうだね」だけ言う。

ひそかな思いは墓場まで持っていくしかない。

2/20/2025, 5:27:58 AM

暗闇の中で私は孤独だ。

目の前に、ぼんやりと懐中電灯の灯りが何かを描く。

何か大きな漠然とした人の輪郭のようなもの。

手を伸ばしても、伸ばしても、届かない。

その輪郭は立ち止まることなく前に進む。

「あなたは何者?

 もし姿を見せてくれるなら、

 人でも動物でも構わないから私の話を聞いて」

そう叫んだ時。

その輪郭は、その姿は明らかになって振り向いた。

あっ!と思ったら、私はベッドから落ちていた。

ただの夢だったようだ。

そう信じたい、正夢にならぬことを。


2/19/2025, 5:17:56 AM

今はSNSなどで誰でも気軽にどこでも言葉を送れる、

そんな時代になった。

でも、私は特定の「誰か」ではなく、

「宛先のない誰か」に自分の遺書を届けたかった。

家族はもちろん、友達でもSNSのフォロワーでさえ

この遺書を送りたくなかった。

恥ずかしいのではない。ただ、知られたくなかった。


ボトルメールという、瓶に入れた手紙を海に流して

私は海ではなく、廃墟のビルの屋上で身を投げた。

打ちどころが悪く、私の命は夜の空に舞い上がった。


遺書の行方はどうなったのだろう。

遠く、知らない街に、知らない人に届いただろうか。

もし、遺書を読んでくれた人がいたら

私はきっと、その人の守護霊になるだろう。

なぜなら、あの瓶には私の願いを込めた遺書と共に

私のお守りのエメラルドが入っているから。

石言葉を調べて生前まで大切にしていたお守り。


「宛先のない誰か」というのは、

悲哀に満ちて海に来たかもしれぬ誰かのつもりだった

これから自分は死ぬのに、他の誰かには生きてほしい

そんなの傲慢だと思ってるけど。


「私がつかんだかすかな『希望』を

 あなたは『幸福』に変えてほしい」

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