今はSNSなどで誰でも気軽にどこでも言葉を送れる、
そんな時代になった。
でも、私は特定の「誰か」ではなく、
「宛先のない誰か」に自分の遺書を届けたかった。
家族はもちろん、友達でもSNSのフォロワーでさえ
この遺書を送りたくなかった。
恥ずかしいのではない。ただ、知られたくなかった。
ボトルメールという、瓶に入れた手紙を海に流して
私は海ではなく、廃墟のビルの屋上で身を投げた。
打ちどころが悪く、私の命は夜の空に舞い上がった。
遺書の行方はどうなったのだろう。
遠く、知らない街に、知らない人に届いただろうか。
もし、遺書を読んでくれた人がいたら
私はきっと、その人の守護霊になるだろう。
なぜなら、あの瓶には私の願いを込めた遺書と共に
私のお守りのエメラルドが入っているから。
石言葉を調べて生前まで大切にしていたお守り。
「宛先のない誰か」というのは、
悲哀に満ちて海に来たかもしれぬ誰かのつもりだった
これから自分は死ぬのに、他の誰かには生きてほしい
そんなの傲慢だと思ってるけど。
「私がつかんだかすかな『希望』を
あなたは『幸福』に変えてほしい」
2/19/2025, 5:17:56 AM