ネジが外れたウサギ

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11/28/2024, 6:22:04 AM

君が僕のそばにいたあの頃は

僕の愛情は全て君のものだった。


僕の喜びを自分のことのように笑ってくれる。

僕の寂しさを受け止めて冗談を言って笑わせてくれる


僕も君のことを自分のことのように

共に笑ったり、悲しんだりした。


二人でいるあの時間がダイヤモンドの原石だったとは

到底思えない。


君は最期に言った。

「私たちの思い出をもとに小説を書いて」


僕なんか詩でさえ書いたこともないのに

どうして小説なんか。書けるわけがない。

そう言おうとしたら、君は精一杯の声で言った。


「あなたなら書ける。

私はあなたの優しさが好きなの。

人のことを第一に考えられるあなたなら、

きっと私のできなかったことを全うできると信じてる」


そう、君は小説家だった。

あまり世には知られてないが、ファンレターもある。

君の遺志を受け継ぎ、

君とは違う自分なりのやり方で

僕たちだけの物語を書くことにした。


僕の愛情は今、君との物語に注がれている。

この小説はダイヤモンドになる。

そう思って原石であるあの思い出たちに

小説という磨きをかける。


いつかきっと誰かに読んでもらえると信じて。

11/27/2024, 6:12:47 AM

けんか別れではなければ別れても恋の微熱は残る。


二人の間にものすごく楽しい思い出があって

一度でも、ものすごく激しいケンカの後でも

それを機に前より心を寄り添えられれば

別れの一言が

単なる「好きな人ができた」では微熱は続いてしまう


解熱剤は相手の「復縁したい」より

それを癒してくれる「君しかいない」という愛言葉。


そんな安易な解熱剤など存在しないけど

やっぱり微熱は

相手を忘れるかそれ以上の恋を見つけるかまで

ずっと残ってしまう

11/26/2024, 5:53:14 AM

冬空の太陽の下で日向ぼっこをする君が

子猫のようで愛おしかった。

もう一度会えるなら

その時も僕はあの日の真似をしたい。

あの時できなかった愛情を行動で示したい。

11/25/2024, 5:36:48 AM

中学の家庭科の授業で編み物を習った。

かじった程度だから、マフラーを編んで終わった。


「もう、やることはない」

そう思っていたのに、

人生って何が起きるかわからない。


人生で失敗して心を病み、

試行錯誤の末、療養に行き着いた先が編み物だった。


偶然、母親が手芸が得意だったのもあり、

かぎ針編みから始め、中学で習った棒編みにも再挑戦


「家にいるだけでは気が滅入るから、教室に行こう」

そう言われて何となく編み物教室に通い始めた。


一番最初にかぎ針編みのベストを編み、

次に棒編みのセーターを編んだ。

さすがにセーターとなると

前身頃、後ろ見頃、袖二つ。の四つのパーツを編み、

パーツをつなげて

袖口や身頃の裾を編まなければいけない。

先生や先輩方の力を借りて半年くらいかけて完成した


そのセーターはとても気に入っていて

特別な日にだけ着ている。

今はタンスの奥で眠っているが、私の宝物。


今は編み物よりも

あの頃できなかった文章書きと読書を楽しんでいる。


私は母親と違って不器用だし、

もともと本が好きだから文章に触れる方が向いている


今になっても編み物には助けられたと思う。

あの頃は夢中で編み物をやっていた。

大きなミスをすると投げ出したくなる時もあったが

今思えば自分にとって大事な心のリハビリになった。


11/24/2024, 6:25:20 AM

夢の中で私はどこかに向かって空を飛んでいた。

ハンドルを取られるような強い風。

しかし、低空飛行で飛んでいるこの空は限りなく青い

明るくて太陽の日差しが眩しい。

心地よい旅だ。


ガサっ

と何か大きな音がしたと同時に

私は突然、自分の翼をコントロールできなくなった。

翼のどこかに痛みが走る。

私はどんどん力尽きて地上に落ちていく。


ドンっ

地面に落ちたときのような鈍い音ではなく

誰かに受け止めてもらったような優しいドンっ。


失いかけた意識を取り戻しながら

うっすら目を開ける。


人間の男だろうか。

髪は短髪で目を細め優しく微笑んでいる。

私はその人の温かい両手の中で受け止められている。

見覚えはないけど、

聞き覚えのある声でその人は言った。


「大丈夫だよ。俺がそばにいるから」


その声だけがどこかひんやりとしていた。

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