君が僕のそばにいたあの頃は
僕の愛情は全て君のものだった。
僕の喜びを自分のことのように笑ってくれる。
僕の寂しさを受け止めて冗談を言って笑わせてくれる
僕も君のことを自分のことのように
共に笑ったり、悲しんだりした。
二人でいるあの時間がダイヤモンドの原石だったとは
到底思えない。
君は最期に言った。
「私たちの思い出をもとに小説を書いて」
僕なんか詩でさえ書いたこともないのに
どうして小説なんか。書けるわけがない。
そう言おうとしたら、君は精一杯の声で言った。
「あなたなら書ける。
私はあなたの優しさが好きなの。
人のことを第一に考えられるあなたなら、
きっと私のできなかったことを全うできると信じてる」
そう、君は小説家だった。
あまり世には知られてないが、ファンレターもある。
君の遺志を受け継ぎ、
君とは違う自分なりのやり方で
僕たちだけの物語を書くことにした。
僕の愛情は今、君との物語に注がれている。
この小説はダイヤモンドになる。
そう思って原石であるあの思い出たちに
小説という磨きをかける。
いつかきっと誰かに読んでもらえると信じて。
11/28/2024, 6:22:04 AM