カーニバル夕暮れ

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8/12/2023, 4:51:49 PM

降りしきる雨の中、赤い絵の具を流す腹を抱え、路地裏に腰を下ろした。
俺はロクな人生も送ってこなかったし、当然の帰結として、今ここで人知れず命の灯火がかき消されようとしている。
そんな中、俺は唯一幸せだった時の事を思い出している。
よく君は、俺にピアノを弾いてくれた。
間違えて苦笑を浮かべながら弾き続ける君の姿が俺にとってはたまらなく愛しく感じた。
会わなくなった、いや、会えなくなった君は今幸せだろうか。そうであったらよいな。
視界がぼやけ、地面を激しく打つ雨の音も消え失せていき、思い出の音だけが聞こえていた。

8/11/2023, 3:08:09 AM

ガタンゴトン、ガタンゴトンと音が聞こえる。
いつの間にか僕は眠ってしまっていたようだ。
車内を見回してみると、窓の外には水平線に沈みゆく太陽が見えた。
寝起きだから頭がいまいち回っていないようで、どこへ向かっていたのか思い出せない。
「次は終点、~駅、~駅」
駅の名前もよく聞き取れなかった。もしかしたら、とっくに目的の駅は通り過ぎてしまったかもしれないが、どちらにせよ、着いたら降りるほかないだろう。
ふと、頭の中に浮かぶ光景。
僕は横たわっているようで、誰かが僕の顔をのぞき込んでいる。顔はよく見えないが、どこか悲しげに見えた。
一瞬、心がなぜかざわついたが、寝起きの頭に夢の残滓が残っていることは、よくあることだと思い直す。
やがて、電車が止まり、ドアが開いた。
僕は立ち上がり、先ほどの光景を振り切るように、ドアの方へ歩き出すのだった。

8/9/2023, 1:43:21 PM

上手く行かなくたっていい。
その言葉は何回聞いただろう?
しかし、現実にはハンバーガーのバンズの間に肉が入ってなければ、ハンバーガーがぐちゃぐちゃの状態で出されれば人は怒るのだ。
とはいえ、そのようなハンバーガーを出して、平然とまた次のハンバーガーを作る作業に移れる人間の方が強い、というのもまた事実かもしれない。