ガタンゴトン、ガタンゴトンと音が聞こえる。
いつの間にか僕は眠ってしまっていたようだ。
車内を見回してみると、窓の外には水平線に沈みゆく太陽が見えた。
寝起きだから頭がいまいち回っていないようで、どこへ向かっていたのか思い出せない。
「次は終点、~駅、~駅」
駅の名前もよく聞き取れなかった。もしかしたら、とっくに目的の駅は通り過ぎてしまったかもしれないが、どちらにせよ、着いたら降りるほかないだろう。
ふと、頭の中に浮かぶ光景。
僕は横たわっているようで、誰かが僕の顔をのぞき込んでいる。顔はよく見えないが、どこか悲しげに見えた。
一瞬、心がなぜかざわついたが、寝起きの頭に夢の残滓が残っていることは、よくあることだと思い直す。
やがて、電車が止まり、ドアが開いた。
僕は立ち上がり、先ほどの光景を振り切るように、ドアの方へ歩き出すのだった。
8/11/2023, 3:08:09 AM