ふうり

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6/11/2024, 1:26:45 PM

この街の中心にそびえ立つ塔

真上にある満月が全てを照らし

全ての影を作っていた

一人の少女はそんな塔の屋上に立っていた

風が強くて体を揺らし

彼らのように突き落とそうとしてくる

ゆっくりと一回転し街を見渡す

ビル群は残業成果の灯りが並び

住宅街は睡眠時間だと強制するように静かだ

大好きで

大っ嫌いなこの街

月に向かって手を伸ばした

だれか助けてくれる人が降って来ないかなって

そんな期待をした

でもその期待を裏切るように

何が月から降りてくる

あれは一体?

お題『街』

6/10/2024, 10:46:57 AM

『死ぬまでにはやりたいことノート』

空っぽの部屋の床に

この一冊だけがポツンと置いてあった

昨日この部屋は全て片付けたはずなのに

起きて様子を見たら既に置いてあった

この家にはもう自分一人しかいないし

強盗とかが侵入した形跡もなかった

ではなぜこのノートがここにある?

恐る恐るノートをぺらりと開く

そこには一つの言葉だけが刻まれていた

『生きる』

ぽろぽろと涙がこぼれノートに落ちる

悲しかった とにかく悲しかった

これしか願いがなかったなんて

それすらも

それすらも叶えられなかったなんて

早朝の朝日が差し込む部屋で

一人ぼっちの男性が泣いていた

お題『やりたいこと』

6/9/2024, 2:05:36 PM

眠気全開の顔に

カーテンの隙間から溢れる朝日が当たる

ごしごしと目を擦り

気怠げにゆっくりと身体を起こす

つい二日までまであんなに寒かったのに

冬なんてなかったよと言わんばかりに温かい

外からちゅんちゅんとすずめの鳴き声が聞こえてくる

さあ

支度をして出かけよう

今日から新しい人生だ

顔を洗い

朝ごはんを食べ

服に着替えた

外からごみ収集トラックの音が聞こえ

バタバタと準備を終える

少し匂いがきつい香水をかけ

何かがはみ出ているゴミ袋を持って

駆け足で外に出た

お題『朝日の温もり』

6/8/2024, 11:21:53 AM

二つの手が僕の目の前に差し出された

一人は緑の少年

僕の弟子だ

もう一人は赤の少女

僕の幼馴染だ

今僕は岐路にいる

どちらかの手を取れば

どちらかと別れなければならない

どちらかの幸福を得て

どちらかの不幸せを得る

怖い

怖くてしょうがない

どちらかを見捨てるのも

自分が後悔するのも

だから僕は

どちらも選ばなかった

二人とも救える道があると信じて

今僕は

自ら開拓した岐路を歩き始めた

お題『岐路』

6/7/2024, 12:49:01 PM

ごうごうと隕石が降り注がれる

たくさんの人が働く高層ビルに

賑やかな観光地に

元気が溢れる学校に

慈悲などなく全ての命を奪っていく

そんな光景を僕はただぼーっと眺めていた

足元には炎の海が広がって

沢山の死体が群がっていた

隣にはあの子だった物が存在している

せめてさいごに

きみといたかったな

お題『世界の終わりに君と』

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