あーあ最悪だ
君がそのことを知ってしまうなんて
君にだけは絶対バレたくなかった
今までの努力も
これからの未来も
迎えるはずのない運命も
全て無駄になった
あっはは
もう笑うしかない
だから僕は意志を捨てた
自らの責任の石も
自らの運命を左右する意思も
悪魔という名の川に落とした
お題『最悪』
「何か隠していますよね」
目の前の女性から放たれた
冷蔵庫の中より冷たい言葉は
僕の心に突き刺さった
そうだどんぴしゃだ
確かに僕は秘密を抱えている
それは誰にも言えない
あの取引があるから
どんなに理不尽な状況になっても
この秘密だけは明かせない
だって
あの子が待っているから
お題『誰にも言えない秘密』
目が覚めたら見知らぬ天井
真っ白い天井に所々黒いシミがある
少し眩しい明かりが部屋を照らす
体を起こすと木製のテーブルがあって
紙とペンが置いてある
その紙にはなにも書かれておらず
出口のドアも窓もない
紙を裏返しても何も書かれておらず
無意識にペンを取って紙に書こうとした
あれ?
………
胸から既視感が湧き上がる
それはまるで噴火した火山のようだった
不安が恐怖が絶望が込み上げてくる
いまは
なんかいめ?
お題『狭い部屋』
「ごめんね」
彼ははっきりとそう言った
日没の太陽が彼の横顔を照らす
よく言ったと言っているかのように
日没の太陽が私の横顔を照らす
お前には無理だと言っているかのように
彼は一瞥し背中を向けて歩いていく
嫌だと口に出せぬまま
ただただ震える手を伸ばした
貴方のために着飾ったこの服も
貴方のために痩せたこの体も
貴方のために覚えた料理も
全て無駄だった
結局彼はあの子の元に行く
りんごのように可愛くて ひ弱で
そんな彼女に彼は惚れてしまった
あーあ
そのりんごに毒が詰まっていて
人かじりしただけで彼が逃げてくれたら
私の元に帰ってきてくれるのかな?
お題『失恋』
正直に言った
君のことを
君が大嫌いで
君に消えてほしくて
君を誰よりも愛している
あーあ
これで嫌われちゃうな
バイバイ
そして僕は
ゆくべき所へ一歩踏み出した
お題『正直』