「ごめんね」
彼ははっきりとそう言った
日没の太陽が彼の横顔を照らす
よく言ったと言っているかのように
日没の太陽が私の横顔を照らす
お前には無理だと言っているかのように
彼は一瞥し背中を向けて歩いていく
嫌だと口に出せぬまま
ただただ震える手を伸ばした
貴方のために着飾ったこの服も
貴方のために痩せたこの体も
貴方のために覚えた料理も
全て無駄だった
結局彼はあの子の元に行く
りんごのように可愛くて ひ弱で
そんな彼女に彼は惚れてしまった
あーあ
そのりんごに毒が詰まっていて
人かじりしただけで彼が逃げてくれたら
私の元に帰ってきてくれるのかな?
お題『失恋』
6/3/2024, 10:57:18 AM