二つの手が僕の目の前に差し出された
一人は緑の少年
僕の弟子だ
もう一人は赤の少女
僕の幼馴染だ
今僕は岐路にいる
どちらかの手を取れば
どちらかと別れなければならない
どちらかの幸福を得て
どちらかの不幸せを得る
怖い
怖くてしょうがない
どちらかを見捨てるのも
自分が後悔するのも
だから僕は
どちらも選ばなかった
二人とも救える道があると信じて
今僕は
自ら開拓した岐路を歩き始めた
お題『岐路』
ごうごうと隕石が降り注がれる
たくさんの人が働く高層ビルに
賑やかな観光地に
元気が溢れる学校に
慈悲などなく全ての命を奪っていく
そんな光景を僕はただぼーっと眺めていた
足元には炎の海が広がって
沢山の死体が群がっていた
隣にはあの子だった物が存在している
せめてさいごに
きみといたかったな
お題『世界の終わりに君と』
あーあ最悪だ
君がそのことを知ってしまうなんて
君にだけは絶対バレたくなかった
今までの努力も
これからの未来も
迎えるはずのない運命も
全て無駄になった
あっはは
もう笑うしかない
だから僕は意志を捨てた
自らの責任の石も
自らの運命を左右する意思も
悪魔という名の川に落とした
お題『最悪』
「何か隠していますよね」
目の前の女性から放たれた
冷蔵庫の中より冷たい言葉は
僕の心に突き刺さった
そうだどんぴしゃだ
確かに僕は秘密を抱えている
それは誰にも言えない
あの取引があるから
どんなに理不尽な状況になっても
この秘密だけは明かせない
だって
あの子が待っているから
お題『誰にも言えない秘密』
目が覚めたら見知らぬ天井
真っ白い天井に所々黒いシミがある
少し眩しい明かりが部屋を照らす
体を起こすと木製のテーブルがあって
紙とペンが置いてある
その紙にはなにも書かれておらず
出口のドアも窓もない
紙を裏返しても何も書かれておらず
無意識にペンを取って紙に書こうとした
あれ?
………
胸から既視感が湧き上がる
それはまるで噴火した火山のようだった
不安が恐怖が絶望が込み上げてくる
いまは
なんかいめ?
お題『狭い部屋』