「あなたにもいるでしょ。大切な人。この人がいないと生きていけない。この人と生きていきたい。そんな風に思う特別な人。」
『あー…。(とくべつなひと?)』
「その人のために私は生きるの。だから今日でお別れ。さようなら。」
『うん。バイバイ。』
そう言うと彼女は保安検査場に入っていった。一度も振り返らなかった。俺は、あの子にとって特別な存在じゃなかったらしい。特別な存在ってなんだよ。友達?家族?恋人?どこからが特別?俺にとっての特別な存在って…?
俺には家族がいない。恋人もいない。友達だと思っていた人ともさっき別れた。育ててくれた施設の人は大好きだ。
でも、さっき彼女が言っていた特別な人とはちょっと違う気がする。特別な人…わからない。
春から大学生
初めての一人暮らし
一緒に旅行に行ける友達を作りたい
アルバイトしたい
サークルにも入りたい
資格たくさん取りたい
たくさん本を読みたい
返信が来ない
泣きたい
間違えたかな
順序が違ったかな
聞き方が悪かったかな
嫌われたんだ
こんなマイナスの考えに支配されて眠れなくなる自分が情けなくて、泣きたい
「無理だって!僕にはできない」
『無理じゃない!怖いだけだろ』
「そうだよ!怖い」
『お前は昔からそうだよな』
「なんで僕がバンジー飛ばなきゃいけないんだよ!!」
『俺たちみんな飛ぶんだぜ』
「飛びたい人だけ飛べば良いだろ」
『逃げるなよ。ほんと怖がりだよなー』
「なんでそこまで言われなきゃいけない?」
『なんでって…みんな飛ぶし、みんなで飛んだ方がいい思い出になるだろ?』
「それはお前の自己満だ」
『いやそんなことな…』
「そんなことある!じゃあお前はみんながトマト食べるからってトマト食べれるか?」
『いや、トマトだけは無理!絶対!あっ…』
「お前のトマトは俺のバンジー」
『お前にとってバンジーはトマト」
「なんか違う気がするけど、そういうこと」
『ごめん。無理強いして。無理なものは無理だよな』
「うん」
『弱虫とか、怖がりとかじゃなくてさ、人それぞれ得意分野も好きなものも違うからさ、自分の軸で考えないで、広い視点をもつ方がみんなで楽しめると思う。』
「そうだな。みんながトマトは美味しいって言っても、俺は絶対認めない。俺にとってトマトは食べ物じゃない!俺が悪かった。また俺が周りに酷いこと言ってたら、叱ってな!ほんとに申し訳ないんだけどさ、俺気づけなくて。努力はしてるつもりなんだけど、夢中になると考える前に声に出しててさ。」
「ほんとトマト嫌いだよね笑笑
お前が頑張ってるのわかってるよ。
(前に僕が「時間守れないなら約束するな」って言ったら、朝が苦手なお前は朝早い集合の約束をするのをやめた。
『7時は無理だ。10時ならいけると思う。』って。僕的には、早くくる努力をしてほしいけど、そんな素直な君は嫌いになれないんだよなー)
こんなに言っといて何だけど、お前となら飛んでもいいかも。なんて…」
『おっ!飛ぶか!』
「いや!やっぱ無理」
『男に二言はない!行くぞー!!!』
「あっちょっワーーーーーーーー!!!!!!!」
『よく頑張ったな』
「意外と楽しかった」
『ほらな!言ったろ!お前は怖がりす、、いや何でもない。楽しめて良かった!』
「おー!(こういうところが憎めない笑)」
今日も自由気ままに歩く
疲れたら車の下で休憩
最近また暖かくなってきたな
おっ犬小屋か??
知らないうちにどこかの家に迷い込んだらしい
恐る恐る覗いたけど、犬はいなかった
良い居眠り場所を見つけたな!
ちょっとここで一休み zzz
視線を感じる
誰かがこちらを見ていた
あーここの家の爺さんかぁ
「気持ちいかい?ポチは先に旅立ってしまった。好きな時に来て良いからね」
『にゃー』
「ほんと可愛いなぁ」
爺さんの言葉はわからないけど、目は優しかった
また気が向いたらここに来るかにゃー