No Name

Open App

「あなたにもいるでしょ。大切な人。この人がいないと生きていけない。この人と生きていきたい。そんな風に思う特別な人。」
『あー…。(とくべつなひと?)』
「その人のために私は生きるの。だから今日でお別れ。さようなら。」
『うん。バイバイ。』
そう言うと彼女は保安検査場に入っていった。一度も振り返らなかった。俺は、あの子にとって特別な存在じゃなかったらしい。特別な存在ってなんだよ。友達?家族?恋人?どこからが特別?俺にとっての特別な存在って…?
俺には家族がいない。恋人もいない。友達だと思っていた人ともさっき別れた。育ててくれた施設の人は大好きだ。
でも、さっき彼女が言っていた特別な人とはちょっと違う気がする。特別な人…わからない。

3/24/2026, 5:29:05 AM