「太陽」 #6
君は太陽のような存在だった。
今考えれば、君は太陽で僕は月のようなものだったのだろう。
僕のことをいつも明るく照らしてくれて、だから僕も輝いていられた。
でも、僕は君を失った。
それから僕はもう2度と輝けなくなった。
あんなにも楽しかった世界が突然白黒の世界になったようだった。
もう一度、もう一度でもいいから君に会いたい。
「その笑顔と明るさで僕のことを照らして欲しい」
そう何度も願ってしまう。
叶わない願いだとわかっていても…。
「鐘の音」 #5
12時の鐘がなるその頃に君はいなくなってしまった。まるで最初からいなかったかのように。
もう一度だけでいい。もう一度君に会いたい。
君の愛しい笑顔をみたい。
世界のどこにいようとも、絶対に探し出してみせる。
僕に新しい世界を見せてくれた、君のことを。
「つまらないことでも」 #4
世界はつまらないもので満ち溢れていた。
つまらない学校。つまらない登下校。
つまらない友達。
そんな退屈だった僕の世界に君が入ってきた。
つまらないことでも、君とならつまらなくない。
君と話せる学校。君と二人きりでする登下校。
でも、一つだけはつまらないままでいて欲しい。
友達はずっとつまらないままでいて欲しい。
君とは友達以上になりたいから…。
「目が覚めるまでに」 #3
君が眠ってしまったのはいつだっただろう。
君が喋らなくなって数十年。
僕は何年経っても君一筋で、君との恋愛しか知らない。
「ねぇ、もう目を覚ましてくれても、いいんじゃない?」
僕の言葉に君の返事はない。
君の寝息しか聞こえない。
「……早く起きてよ」
いつまでも待っているから。
「病室」#2
ここに来たのはいつぶりだろうか…。
しんしんと降る雪はあの頃と何一つ変わらない。
変わったのは君がいないことだけだ。
君は「私のことは忘れて幸せに生きて」と最後にそう言った。
でも、僕に幸せが来ることはもう2度とないだろう。
君といた時間が、僕にとっては何よりも幸せだったから。
ここに来ると、君とまた会えるのではないか、そんな期待を胸にいてしまう。もう会うことはできないと頭では分かっているのに…。
この淡い雪が、毎年この時期に降ること、それが僕の幸せだ。