夜に窓越しに見えるもの。それは気合いの抜けた年齢相応な私の顔。そんじょそこらの幽霊よりも恐ろしい。
(そう、思っていたんだけどな。)
鏡のようになった課長の後頭部の横に、ふさふさした猫の頭が見える。残業中とはいえ、職場に猫はいない。
そして課長に相談している同期の窓に映る顔の横には、私の顔がもう1つ見える。私の顔がもう1つって何だ。
そういえば昼休みに、飼い出した保護猫が可愛いと課長が写真片手に惚気ていた気がする。猫に可愛いと好感を抱いている課長。大好きな飼い主を得た猫。正直どっちの仮定でも良いが、自分が関係するとなると話は違う。
(この場合、矢印がどっち向きかが問題なのよ!)
「おい。ちょっと呑んで帰ろうぜ。」
降ってわいた超常現象と最近気になる人からのお誘いに、頭がいっぱいいっぱいになりながら、なんとか笑顔で頷き、ノートパソコンを閉じた。
これは、疲れか、呪いか、祝福か。
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運命の赤い糸か見える人が居たとして、それがそうだと気づくのにはおそらく時間がかかったろうなぁと昨日のテーマで思っていました。
納豆の糸ほどならば
繋がりは
あると信じて
手を伸ばす
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「見えないのに、なんで赤ってわかるんだよ!」
などと思ってしまう捻くれた人間には、縁はなさそうな運命の赤い糸ですが、因果関係の糸も、気持ちの糸もきっとあるよなとは思っています。
時に気持ちの糸は、手を伸ばさなければ簡単に切れてしまうものであったとしても。
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小指で繋がった運命の赤い糸のお話の由来と考えられるお話も調べて面白かったです。
中国の足首を繋ぐ見えない紅い縄のお話。その赤い縄は結婚を示唆しているとのお話でしたが、殺人未遂事件の加害者と被害者であるとも言えるのではと思ってしまいました。
古事記の赤い土のついた糸をたどって子作り相手の身元を探る話も面白かったです。赤い土は魔除けだそうで、糸の先が悪い物だったら赤い土はどんな風に作用していただろうかと考えてしまいます。
流石に昨日入道雲のシーンを詠ったばっかりなので笑っちゃいました。
いやぁ、気が合いますね。
またぼちぼち考えます。
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以下追記
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不満悔しさ積み重ね
一歩でも上に行かんと進む姿も
一気に泣き出したと思ったら
わめく雷光が、やがて大地の力になるのも
夏の天候は、どこか君に似ていると
眩しくて目を細める。
濡れタオルで冷やした鉄棒を握りしめて
蹴り上げる入道雲
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入道雲こと積乱雲の中で、その上昇気流の摩擦のため良く起こると考えられている雷。
その雷を「稲妻」というのは、雷が稲作に必要だと言うことを昔の人も感覚的に知っていたからと言う話が好きです。
空気中の窒素が雷による空中放電で分解され、窒素化合物の硫酸性窒素となり植物の栄養になる。これを理屈じゃなく観察でわかって稲妻って名前にまでなってるの、本当凄いよなぁ。
積乱雲を入道…ムキムキのでっかいお坊さんだという名前になってるのも面白いですよね。長年お坊さんは時に理不尽な支配層だったろうし、タコ入道なんて言ったりもするし、尊敬よりどこか揶揄が見える。大入道だの輪入道だの妖怪の名前にもなってるし。
海入道…海坊主はぐりとぐらの絵本のおかげで割と好きな妖怪?ですけども。
夏旅は 高速道路の 後部座席
手を窄め 作るソフトクリーム 入道雲
家に帰りたいが口癖の 彼女の家は
ここではないどこかにある
気負い無く 独りでいられる場所
あれは アザミかハルジオンか
ケサランパサランが 少女漫画に悪戯したみたいに
背景の綿毛だけが 感情を乗せて飛んで行く
正しく ここではないどこかを 目指して
有給をとった平日に
普段は降りない鈍行だけが止まる駅を降りる。
新しい綿毛を追い越して 目的もなく歩く。
何処かに行ってしまった誰かの此処を辿る様に
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オニアザミと呼んでいたアメリカオニアザミが、見付けたら駆除が望まれる「生態系被害防止外来種」なのだとはじめて知りました。お花だけは綺麗なアザミなので手折って活ければ私も駆除に参加できるのではと一瞬思ったのですが、アレは無理だ。棘が先住民の方が昔、針に使用していましたレベルで大きくて長い。(ちなみにアメリカではなくヨーロッパ原産なのでそんな逸話は無い。おい名前。)
後アザミ関係でいくとゴボウもアザミみたいな花が咲くんですって。知らんかったー。夕飯はゴボウの唐揚げだな。
ケサランパサランは江戸時代に生まれた不思議な謎の生き物で、ふわふわしたソレを風通しのいい桐箱に捕まえられると幸運が訪れるとかなんとか。おしろいが好きというお話から化粧品メーカーのブランド名にもなっていますよね。言葉自体が可愛くて好きな妖怪?妖精?未確認生物?です。