小絲さなこ

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6/18/2024, 2:29:59 PM

「罪悪感は最初だけ」


どんな汚い手を使ってもいい。
ほんの僅かな罪悪感を抱くだけで、貴女を手に入れられるのなら。

初めは、そう思っていた。



消えていく罪悪感と、それと引き換えに得るものは、ある種の快楽だ。


貴女が気が付かないうちに、見えない檻に閉じ込めていく。


一生気付いてほしくない。
その一方で、気付いて絶望に塗れた表情を見せてほしいとも思う。


罪悪感なんて、もう抱かない。


────落下

6/17/2024, 3:40:46 PM

「Plan」


その日その日を生き抜くだけで精一杯。明日どうなるのかも
わからないのに、将来のことなんて、想像したことがなかった。

自分の好きなものすら、わからなかったくらいだ。やりたいことなんて、わかるはずがない。
たとえあったとしても、自分には無理だろうと思っていただろう。
あなたに出会うまでは。


あなたの描く人生設計には私がいて、ふたりで年を重ねていくことは当然のことなのだという。


長生きなんてしたくないと思っていた。

でも今は、可能な限りあなたの側に居たいと思う。


────未来

6/16/2024, 3:10:49 PM

「変わっていく世界」



「あー、そっか……出会って一年か」

一年前の今日、彼と出会ったことがわかる投稿を眺める。

SNSでマイページの「思い出」をタップすると、「過去のこの日」の投稿が表示されるのだ。



今の私は、一年一日前の私には想像も出来ないだろう。

「君と出会って世界が変わった」
彼はそう言うけれど、ふたりが出会って一番変わったのは私のほうだ。

そして、次の一年後には、もっと私の世界は変わっていく。




──── 一年前

6/15/2024, 3:19:07 PM

「ひだまりのなかで同じ本を」


好きな漫画や小説が同じだとわかったことから、ふたりはどんどん仲が深まっていった。

やがてふたりは結婚。
子供が生まれ、家を建てる際に、膨大な量の漫画や小説を収納するためのスペースを確保した。
今では小学生の娘と近所の男の子がそこで漫画を読んでいる。

「異性の幼馴染と仲が良いなんて、現実にあるんだ……」
漫画やラノベの世界の中だけかと思ってた、と君が言う。

「いや、まだわからんだろう。今は仲良くても中学生になったらどうなるかわからない」
「まぁ、このままあの子たちが結婚しても私は構わないけど」
「結婚て。まだ小学生じゃないか」

ついこの間まで「おおきくなったら、おとうさんのおよめさんになる!」って言ってたんだぞ。

「十年後にはあの子たち十八よ。十年なんてあっという間よ」


まさか本当に、二十年経たずにあの子たちが結婚するとは、この時は思いもしなかった。


────好きな本

6/14/2024, 2:55:38 PM

「この関係を維持しているのは」



「あなた達が付き合ってないなんて、信じらんない」
友人たちはそう言うけれど、私達は単なる幼馴染。
登下校も一緒。昼食も一緒。休日も一日に何度かメッセージのやり取りをしているし、たまに一緒に出かける。
肩が触れるくらいの距離で歩いているけど、彼氏彼女の関係ではない。


今日の空は薄い雲がかかっている。
時々、厚い雲で暗くなったり、
雲が切れてうっすら青い空が透けて見える。


あいつに対する気持ちが、長く付き合っている友人としての気持ちなのか、いわゆる恋というものなのか、正直わからない。

ただ、わかっているのは、踏み込むのが怖くて、この関係を維持してるということ。




────あいまいな空

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