「ひだまりのなかで同じ本を」
好きな漫画や小説が同じだとわかったことから、ふたりはどんどん仲が深まっていった。
やがてふたりは結婚。
子供が生まれ、家を建てる際に、膨大な量の漫画や小説を収納するためのスペースを確保した。
今では小学生の娘と近所の男の子がそこで漫画を読んでいる。
「異性の幼馴染と仲が良いなんて、現実にあるんだ……」
漫画やラノベの世界の中だけかと思ってた、と君が言う。
「いや、まだわからんだろう。今は仲良くても中学生になったらどうなるかわからない」
「まぁ、このままあの子たちが結婚しても私は構わないけど」
「結婚て。まだ小学生じゃないか」
ついこの間まで「おおきくなったら、おとうさんのおよめさんになる!」って言ってたんだぞ。
「十年後にはあの子たち十八よ。十年なんてあっという間よ」
まさか本当に、二十年経たずにあの子たちが結婚するとは、この時は思いもしなかった。
────好きな本
6/15/2024, 3:19:07 PM