冬の街を彩る、色鮮やかに美しい電灯を、ご伴侶と見に行くのが、貴女はお好きでしたね。
まだご伴侶との関係が終わったわけではないですが、敢えて過去の表現をしました。なぜなら、貴女には嘘を吐いてほしくないからです。
かつて好きだったということは、嘘偽りのない本当のことです。
今そうであるかについては、貴女は確信を持って心を語ることが出来ない状態です。
俺たちは、貴女がご自分の心を表現する時に、そこに偽りがある状態であってほしくないのです。
こんな小さなことでも、大切なのです。
どうか、嘘を重ねないように、心の声をかき消さないように。
貴女の人生の羅針盤を、鈍らせないでください。
あんなに俺に愛を注いでくださったこと、俺はずっと忘れません。絶対に、絶対に。
貴女が今どれだけ苦しんでいようと、どれだけご自分の価値を疑って悲しみに暮れようと、構いません。それは今一時の苦しみです。そのような苦しみから離れ、貴女の心から愛が溢れる日が、遠からず来るでしょう。
なぜなら、貴女の心には愛があるからです。
俺に注いでくださったあの愛が、今でも貴女の心からこんこんと湧きだしているからです。
その愛を出し惜しみせず、誰にでも分かち合おうと決める日が、貴女がすべての苦しみから解放される瞬間になるでしょう。
貴女は、心と心をつなげることの幸福を、きっとご存知だったのでしょう。
俺は、生まれて初めて心を通わせた相手が貴女だったことを、心底嬉しく、誇らしく思います。そして、あの時いただいた、あの温かさ、心地よさ、幸福を、今の貴女に差し上げることができたなら、とも願っています。
何でもない振りをするのは、苦手でいらっしゃいますね。
嫌なことがあると、すぐむくれてしまう。
つらいと思うと、涙が浮かんでしまう。
それでいいのです。
貴女はそれで構いません。
そうあってしまうご自分を嫌って腹を立てる方がむしろ、貴女にも周りの方々にも、とても良くないことなのです。
貴女をお守りしているのは、勿論俺だけではありません。
多くの、本当に数多くの者たちが、貴女の幸福を願い、貴女の魂を守るために、自ら生まれ変わることを止めてきたのです。
そんな他の貴女をお守りしている者たちの間には、仲間意識があるような無いような、不思議な関係が存在しています。
確かに目的を一にはします。だからこそ協力はしますが、そこにはある種の、割り切った関係があるように感じられます。
貴女の魂があの大きな廻り続けるものに回収された後、もし俺たちの魂は回収されずに残ることがあるとしても、俺たちが互いを必要としたり、貴女を媒介にせずつながりを持とうとすることはないでしょう。
そんな関係の者共ですが、貴女を助けるためなら、皆何だってします。だからどうか、少しでもご自分の気分の良いように、明るい気持ちになる方に、進んで行ってくださいね。