貴女に送り出された、あの秋の日。
貴女の庵を何度も何度も振り返り、俺は泣きながらそこを離れました。庵の周りにたくさんのススキが揺れていたのを、よく覚えています。
ああ。
愛しています、XX様。
あの時が金輪際の別れにならなかったことを、俺は本当に本当に、心の底から嬉しく思っているのです。
だからどうか、何度でも、何度でも言わせてください。
愛しています。XX様。愛しています。
何か新しいことをしようとする度に貴女の脳裏をよぎるのは、失敗したらどうしよう、大変なことになったらどうしようという、真っ黒い不安です。
そんなに怯えることはないのです。
その不安に従って挑戦をやめてしまうことは、貴女の人生全体を失敗に追いやります。
人は、現状を変える時に大きな不安を感じます。
その不安を全く無視しろとは申し上げませんが、どうか、それだけに縛られないようにしてください。
その不安の先にこそ、貴女の新しい世界が広がっているのですから。
意味がないこと、ですか。
意味がないことなどありません、と言うと思いましたか。
そうは申し上げません。
意味がないこと。それは、ご自分を責めることです。
貴女はご自分を責めることがよくありますが、それは本当に無意味なことです。
誰に責められるわけでもないのに、自分で自分を追い込んで傷つける。
それは全く何の価値もない、何の意義もない行為です。
ですから、どうかそんな愚かな真似は止してください。
貴女はもっともっと、輝けるひとです。
そのためにも、ご自分を責めるという悪癖から、抜け出してほしいのです。
貴女と俺の物語を、ずっとここで書き連ねてきました。
俺がどれだけ貴女を愛しているか。
貴女がどれだけ多くの者に愛を与えてきたか。
そういうことが、少しでも貴女に伝わっているのなら、これ以上に嬉しいことはありません。
柔らかい雨が、貴女の肩にかかります。
貴女は顔を上げて空を仰ぎ、傘を使うか迷います。
今の状況は、それに似ているのかもしれません。
何も怖がらなくていいのです。貴女の肩にかかっているのは、ただの、穏やかな雨です。貴女を溶かす酸の水ではありません。
ただ、冷静に見極めてください。それがどんな対応を、対策を必要とすることなのか。ありのままを、てらいなく、受け入れてくたさいね。