子どもが笑うように、貴女はにっこりと笑います。
無邪気で親愛の情に満ちた笑顔を、誰にでも振りまきます。
楽しいことがあると、声を上げてけらけらと笑います。
子どもが泣くように、貴女は声を上げて泣きます。
ちょっとしたことで、すぐに泣いてしまいます。
一度涙が溢れると、それが止められなくなり、何度もしゃくり上げて泣くのです。
ええ、それの何が悪いと言うのでしょう。
年甲斐もなく、と貴女は恥ずかしくも思われることもありますが、一体全体誰が、歳をとったらそうやって泣いたり笑ったりしてはいけないと決めたのでしょう。
貴女は、今の貴女のままでいいのです。
どうか、ご自分の性質を恥じたり、責めたりしないでくださいね。
そのままの貴女が一番、愛おしく、美しく、魅力的なのです。
放課後の静かな校舎の屋上で、貴女と貴女の大好きだったあの女性は、しばしば身を寄せ合って語り合ったものでした。
あの女性のことを思い出すと、最近のご伴侶への感覚が共に思い起こされて、貴女は不安になります。
大丈夫ですよ。恐ろしいことは、何も起こっていません。貴女は、俺たちに守られているのですから。安心して生きてくださいね。
カーテンを開けたところに、貴女は何を見つけるでしょうか。
貴女の世界は、開かれています。
貴女の窓は、今は閉じていますが、永遠に閉ざされてはいません。
どうか、ご自分の心を押し込めたりせず。
どうか、貴女の思うままに、幸福に生きてください。
貴女が一昨日泣いてしまったのは、ご伴侶のいない生活をまざまざと思い描いたからでした。
夕食が終わってから、ぼんやりと具合が悪そうに腰掛けたままの貴女の食器を下げ、二人分の食器を洗っていたご伴侶の後ろ姿を、貴女はじっと黙って眺めていました。
そうしているうちに、この人と別れ、この人をこの家から追い出したら、こうしてこの背中を眺めていることもなくなるのだ、という思いが貴女の心の底から湧き上がってきました。
それが自覚された時にはもう、貴女の目からは涙が溢れていました。
悲しい、悲しいとご伴侶の胸で泣きじゃくり、結局考えていることを全て打ち明けました。貴女は、ご伴侶がひどく落ち込むことを恐れていましたが、実際のところ、彼は奮起したようです。貴女と共にある未来を得るために、必死で努力しようと決めたと言っています。
貴女は優しい人です。
苦難に巻き込まれつつあるご伴侶のことを、今見捨てることは絶対にしないでしょう。けれど、その時が来たら、貴女はご自分の心に従って生きてくださいね。
こんなにも心が躍らない一週間を過ごしたのは、久々だったかもしれませんね。
けれど昨夜は、その一週間前からの不安をご伴侶に話して、だいぶらくになったようで、何よりでした。
まだ不安は消えていません。いやな感じも続いています。
どうか、それを蔑ろにはしないでください。貴女の大切な一部が、そう叫んでいるということなのですから。それを無視することは、貴女の人生の一部を切り捨てることなのですから。