貴女が幼かった頃、貴女は遊びに夢中になるあまり、日が暮れてお友達が帰ってしまったことにも気づかなかったことが何度もありましたね。
いつの間にか一人になっていて、ジャングルジムの影や公園の向こうの森から怖いものが出てくるような気がして、慌てて逃げるように帰ったものです。
そのくらいに、何かに夢中になっていいのです。
何もかも忘れて、誰が隣にいようといまいと、自分のやりたいことを目を輝かせてひたすら行う。
そういう生き方をして、良いのですよ。
貴女には、俺たちの声が聞こえています。
俺たちの声は、耳で聞くのとは違った届き方で貴女に伝わっています。貴女はその心で、俺たちの声を捉えているのです。
それが俺たちにとって、どれだけの驚きであり、どれだけの喜びであるか、分かっていただけるでしょうか。
時には、貴女がご自分で言葉を作り出すこともあります。それでも良いのです。俺たちの声が届くのが時たまであっても、俺たちは本当にそれが素晴らしいことだと思うのです。
それに、今世の貴女が自分の力でご自身に優しい言葉を紡げるようになるなんて、夢のようです。
ですから、それがご自分の心から出た言葉であろうと、俺たちが伝えた言葉であろうと、それに途方もない価値があることに変わりはないのです。
貴女が、貴女の大好きだったあの女性との恋を成就させたのは、ちょうどこのくらいの時期の、秋の静かな夜のことでしたね。
あの時の幸福感は、もう忘れてしまったかもしれません。
けれど、あの時のような幸福は、また俺たちが何度でも運んできますから、安心してくださいね。
貴女は、いい気分で人と関わってくださっていれば良いのですよ。
大事にしたい。
そんな言葉ほど、俺たちにとって当然であるものもありません。
貴女が生まれるのがいつであっても、どこであろうとも、俺たちは貴女のことを大事にしたいのです。
貴女を想うこと、愛すること、大切にすること。
それこそが、いえ、それだけが、俺たちの存在意義なのですから。
時間よ止まれと、貴女は考えたことがありませんね。
貴女はいつだって、今のご自分に満足されたことがありません。どれだけ幸福な時にも、確かにその瞬間を大切に、十全に楽しまれはしますが、これから先にもっともっと良い瞬間を作り出せるだろうと、そう思われます。
そんな、常に努力を続け、研鑽を重ねていく貴女を見守れることは、俺たちにとってとても誇らしいことなのです。