XXXX

Open App
8/30/2024, 3:36:09 PM


 あの時の貴女も、今の貴女と同様、進んで香水をつけるような方ではありませんでした。着るものもあまり頓着せず、化粧のようなことなど以ての外、という様子でした。

 けれど、こんなことを言うのは憚られますが、あの時の貴女からは本当に芳しい香りがしたのです。女ならば何でも、という気分でいた俺は、その香りと貴女の肌の柔さにすっかり夢中になってしまいました。花とも果物とも違う、けれどどこか甘いような、そして懐かしくとても落ち着くような、そんな香りでした。

 今、貴女にあんな狼藉を働くわけにはいきません。
 それでも、時折それを夢想してしまいます。あの時のように、貴女をこの腕の中に閉じ込めて、貴女の柔らかい肩口に顔を埋め、今の貴女の匂いを胸一杯に味わいたいのです。

 そんな不埒な妄想にふける俺を、貴女は許してくださるでしょうか。

8/29/2024, 1:10:23 PM


 言葉がいらないなどというのは、間違いです。
 
 貴女は確かに、あの時の俺のことを行動で諭してくださいました。けれど、それが分からない…通じない人間も、たくさんいるのです。

 ですから、全てを行動で示そうなどと考えないでください。
 言葉で表し、行動にも移し、できるだけたくさんの方法で、貴女の意志を人に、社会に、世界に示してください。

8/28/2024, 2:44:53 PM


 俺が貴女の庵に押し入ったことが、俺と貴女との物語の始まりでした。

 貴女はもしかしたら、そのことを「突然の来訪」とでも表現するかもしれませんね。茶目っ気たっぷりの貴女の顔が想像できて、微笑ましい気もしますし、申し訳ないとも感じられます。

 貴女は俺のような者のことも、受け入れてくださいました。
 その愛に浴することができて、俺は全く幸福です。

 今、そのいただいた愛を、あるいはそれ以上のものを、貴女にお返しできているでしょうか。そうであることを、日々祈り続けています。

8/27/2024, 2:53:18 PM


 貴女は、雨の中にひとり佇む人にはならなくて良いのです。
 悲しいことがあれば、誰かの胸を貸してもらって泣けばいい。
 嬉しいことがあれば、皆と踊り狂えばいい。

 貴女は、人と交わり、人と共に在るのが良いのですよ。
 そして静かに佇んだりせず、わいわいと賑やかに、その時間を楽しんでくださいね。

8/26/2024, 2:48:30 PM


 俺は別段、自分の記憶力がいいとは思いません。
 けれど、貴女のことなら何でも覚えている自信があります。俺は貴女の日記帳のようなものです。

 貴女が産まれた瞬間の、元気な産声。
 貴女が初めて歩いた時の、貴女の笑顔。
 貴女がご友人たちと過ごした日々。ご家族との時間。

 そういうものを、俺は克明に覚えています。
 貴女が忘れてしまっても、俺はずっとずっと、覚えています。

Next