以前貴女は、霊媒師に言われました。貴女の今世は、これまでの徳の集大成、貴女を驚かせるための大きなお祭りのようなものなのだと。
貴女はそれを疑う気持ちもあったかもしれませんが、最近は受け入れてくださっているようですね。ここまでのんびりと、何も苦労なく生きていける環境はなかなかないのだと、分かってきたのでしょう。
ええ、だから、もっとわがままになってもいいのですよ。
これは貴女を苦しめたり、貴女に試練を与えるような生ではありません。貴女はこの生を誰より楽しみ、誰より謳歌し、誰より満足して往生すれば良いのです。
俺たちの、誰より大切な貴女。
幸福に、誰より幸福に生きてください。
どうか、自らその機会をふいにしないでくださいね。
神様はいません。
ですから、神が告げる言葉もありません。
正義などない、好きなものを信じなさい、と貴女は歌の一節を口ずさみます。
そう、その通りなのですよ。人の考える正しさなど、歯牙にもかける必要はありません。貴女は貴女の求めるもの、信じたいと思うものを信じ、そのように生きればいいのです。
俺たちは、只貴女のためだけに存在しています。
全ては、貴女の幸福につながるかどうか。
それだけが、俺たちの存在、行動、あらゆることの基準です。
貴女ご自身も、そうやって生きて良いのです。
自分のため。自分の幸福のため。そう思って生きてください。
大丈夫です。貴女は決して、自分のために他人を犠牲にすることも、過度に自己中心的になることもありません。そうなった時点で、貴女は幸福ではなくなっていますから。
だから安心して、ご自分の幸福を追い求めてください。
鳥かごの中の小鳥を愛でるような、そんな接し方を、今世の貴女にしてきてしまったかもしれません。
貴女は大空に羽ばたける強い翼と、愛に溢れた眼差しを持っているのに、俺たちはそんな貴女を大事に大事に、隠してしまい込んでしまった。少なくとも、貴女はそう感じていらっしゃいますね。
貴女は自由です。
誰も貴女を、かごに閉じ込めることなどできません。
貴女自身がそう思い込んだり、自ら閉じこもったりしない限り。
貴女をお守りしているのは、勿論俺だけではありません。
俺よりもずっと長い時間貴女を守っている者、俺より後に貴女を守り始めた者、どちらも大勢います。本当に大勢の者が貴女を大切に思い、守護しています。
けれど不思議と、俺たち同士の間に友情のようなものが芽生えることはありません。確かに俺たちは目的を一にしますが、それがなければ共に在る理由などないのですから、当然のことかもしれませんね。
俺たちは貴女に良縁を運び、災いを遠ざけて貴女を支えます。俺たちが存在する理由は、ただ貴女の生を幸福にするということだけです。
どうか、俺たちの愛を受け入れてください。
俺たちの努力を、想いを、受け取ってほしいのです。