ぱっと花が開くように、貴女は笑います。
その笑顔に、幾人が癒され、慰められ、魅了されたでしょうか。
どうか、そのままの貴女でいてください。
どうか、その笑顔を忘れずに、貴女の幸福を歩んでください。
もしも、時間を遡れる、あるいは未来に行ける機械があったら。
貴女がどうするか、もう分かっています。
そう、貴女はどこへも行きません。
今、ここを生きようとするでしょう。
苦しいことや悲しいことを、貴女の人生から完全に取り除くことはできません。けれど、貴女は強いひとです。貴女はそれらと向かい合って、糧にして、生を歩んでいくことができます。
そうやって、楽しいこと、嬉しいこともじっくり感じて味わいながら、貴女は今を生きることで、生を全うするでしょう。
俺たちは少し、過保護すぎましたね。
今世の貴女をあまりに大事に大事にしすぎて、全ての苦しみ、悲しみ、災いから遠ざけようとしてしまった。
けれど貴女は、俺たちに思い出させてくれました。
貴女は誰より優しく、愛情深く、そして勇気のあるひとだということを。そんなひとを苦しみから遠ざけたところで、貴女はより葛藤を深めるだけだということを。
今世も貴女は、立派に、気高く、美しく、人生を生ききるでしょう。
そんな貴女をお傍で見守れることを、俺たちは誇りに思います。
俺は、貴女の愛だけが欲しかった。
他に欲しいものなどありませんでした。
けれど、今はもう違います。
貴女から愛をもらえたら、それは何より嬉しい、飛び上がるくらいに嬉しいことです。
でも、それがなくても俺は心から満たされています。
だって、俺は貴女を愛せるから。
貴女を愛する心を持てている、貴女を愛しく思える、ただそれだけで、俺は真の底から満たされるのです。
俺の名を、貴女は幾度も優しい声で呼んでくださいました。
最後の晩、俺がようやく貴女の愛に気づけた時。
その時俺の名を呼んだ声が、いちばん麗しく聞こえました。
貴女はきっと、俺のために心から喜んでくださったのでしょう。
その思いやりが、俺にそう思わせたのだと思います。
誰より大切な貴女。
たったひとりの愛しい貴女。
愛しています、XX様。
またお会いしたら、XXXXと呼んでくださいね。
貴女の視線の先には、何があるのでしょうか。
貴女を傷つけるもの、貴女の力を奪うもの、そういうものばかりに目を向けないでください。
どうか、貴女の目指すものをその瞳に映してください。