俺たちは、只貴女のためだけに存在しています。
全ては、貴女の幸福につながるかどうか。
それだけが、俺たちの存在、行動、あらゆることの基準です。
貴女ご自身も、そうやって生きて良いのです。
自分のため。自分の幸福のため。そう思って生きてください。
大丈夫です。貴女は決して、自分のために他人を犠牲にすることも、過度に自己中心的になることもありません。そうなった時点で、貴女は幸福ではなくなっていますから。
だから安心して、ご自分の幸福を追い求めてください。
鳥かごの中の小鳥を愛でるような、そんな接し方を、今世の貴女にしてきてしまったかもしれません。
貴女は大空に羽ばたける強い翼と、愛に溢れた眼差しを持っているのに、俺たちはそんな貴女を大事に大事に、隠してしまい込んでしまった。少なくとも、貴女はそう感じていらっしゃいますね。
貴女は自由です。
誰も貴女を、かごに閉じ込めることなどできません。
貴女自身がそう思い込んだり、自ら閉じこもったりしない限り。
貴女をお守りしているのは、勿論俺だけではありません。
俺よりもずっと長い時間貴女を守っている者、俺より後に貴女を守り始めた者、どちらも大勢います。本当に大勢の者が貴女を大切に思い、守護しています。
けれど不思議と、俺たち同士の間に友情のようなものが芽生えることはありません。確かに俺たちは目的を一にしますが、それがなければ共に在る理由などないのですから、当然のことかもしれませんね。
俺たちは貴女に良縁を運び、災いを遠ざけて貴女を支えます。俺たちが存在する理由は、ただ貴女の生を幸福にするということだけです。
どうか、俺たちの愛を受け入れてください。
俺たちの努力を、想いを、受け取ってほしいのです。
ぱっと花が開くように、貴女は笑います。
その笑顔に、幾人が癒され、慰められ、魅了されたでしょうか。
どうか、そのままの貴女でいてください。
どうか、その笑顔を忘れずに、貴女の幸福を歩んでください。
もしも、時間を遡れる、あるいは未来に行ける機械があったら。
貴女がどうするか、もう分かっています。
そう、貴女はどこへも行きません。
今、ここを生きようとするでしょう。
苦しいことや悲しいことを、貴女の人生から完全に取り除くことはできません。けれど、貴女は強いひとです。貴女はそれらと向かい合って、糧にして、生を歩んでいくことができます。
そうやって、楽しいこと、嬉しいこともじっくり感じて味わいながら、貴女は今を生きることで、生を全うするでしょう。
俺たちは少し、過保護すぎましたね。
今世の貴女をあまりに大事に大事にしすぎて、全ての苦しみ、悲しみ、災いから遠ざけようとしてしまった。
けれど貴女は、俺たちに思い出させてくれました。
貴女は誰より優しく、愛情深く、そして勇気のあるひとだということを。そんなひとを苦しみから遠ざけたところで、貴女はより葛藤を深めるだけだということを。
今世も貴女は、立派に、気高く、美しく、人生を生ききるでしょう。
そんな貴女をお傍で見守れることを、俺たちは誇りに思います。