某ゲームRS二次創作
遥か遥か遠い昔、私は高貴なる光輝く至高の存在だった
国は無数の敵に囲まれ風前の灯火、強大な敵を前に私は仲間達と共に純粋で崇高な使命を持ちて戦った
数多の命を我が物としやがて私は強く素晴らしい光輝く存在になった、だが人々は異形と蔑み裏切った
こんなに無私無欲献身的に奉仕した私を健気な仲間達を追放するとは
遥か遥か遠い彼方の世界に追放された私達はやがて闇のちからを蓄え永い時を越え数多の世界を乗り越えてやがて故郷へ帰還する
光輝く私は憎悪を憶えすっかり闇に染まりきってしまった
帰還したらどうしてくれよう追放した君たちを八つ裂きにしてくれようかそれでも私の心の憤りは収まりそうにない
絶望の中に見出した復讐の炎、それが一筋の光私の心の支え━
淡い燐光に充ちたほの昏い空間の中、純白の衣を纏った長い黒髪の男が静かに一人佇む
冥く煌めく漆黒の瞳には狂気の光が宿っていた
「━なあ、ノエルやっと見つけたよ」
「ワグナスそれは本当か!」
「さあ帰ろう我々の故郷へ…帰還の時だ」
狂気の光が平和に微睡む世界に射し込む、やがて数千年にも渡る動乱の時代が始まろうとしていた
「一筋の光」
某ゲームRS二次創作
古びた弦楽器を片手に男が歌う
優しく雄大しかしやがて悲しい時を迎える物語、謳うように厭うように
窓の外はすっかり日が暮れ訪れる寒さから守るかの如く暖炉の火が部屋を暖めてゆく
栗色の梁くすんだ乳白色の壁に滲むような陰色、渋く輝く銀の髪が揺れる
腰まで伸びる見事な銀の髪を持つ長身の青年はまるで夢見心地のようにその場で見てきたかのような迫真の面持ちで弾き語りを演奏する
爪弾く指は細いように見えて着実にコードを抑えていく旋律は軽やかにしなやかにそして物悲しく
すっかり聴き入っている聴衆達に静かに厳かに言い聞かせるような雰囲気がそこには存在した
やがて物語は終わりつかの間の静寂の後に暖かな拍手が沸き起こるその場にいる者達の精一杯の感謝の労い
銀の髪の青年は会釈をして再び腰を落ち着けると一仕事終えた相棒の弦楽器の手入れをし始めた
傍らに近づいてきた人物が質問する
「失礼、これは何の詩ですか?」
青年は柔和な表情で答える
「今はすでに喪われた旧き神々の時代の詩です」
青年が歌ったのは戦火ですでに喪われた旧時代の悲しい物語だった
絶望の涙で大地が覆われた後に生まれた歌、やがて人から人に歌い継がれその時代に生きた人々は歌の中で鮮やかに蘇るのだった
「哀愁をそそる」
某ゲームRS二次創作
ノエルさんまたね〜
お疲れ様です では、また
ふう…
持ち回り当番の見回りを終えたノエルはまだ仲間達の元に戻るには幾分早いかと思いたつ
近くの小さな池のほとりにふらりと近寄った
澄み切った池に映る自分を見る、「ノエルさん」と呼ばれた切れ長の目に穏やかな表情をたたえた自分が映っている
この世界は・・・
サーッと風が立ち水面が揺れ、水面がまた違う自分を映し出した
ターム族や蟻の女王様々な巨大モンスター達との戦いの果てに培ったのか或いは遥か昔からあった自分なのか戦と血を求めている残虐な自分、慈悲を喪った冷酷な自分
自分にはまた真逆の一面があるのだ
この世界は━、退屈だ
己の中にざわめき立つ殺気
暫く時間が過ぎゆくと池はまた静寂を取り戻していた
ノエルもやにわに沸き上がる殺気を鎮めるとすっかり平静を取り戻した、穏やかな表情の青年の姿が水面に映し出される
戻ろう仲間達の元へ━
七英雄、他の何者よりも大切な戦友達が待っている
ノエルは暖かな陽光が作り出す長閑な空間に背を向けると転移術式が作り出した暗く冷たい深淵の闇に包まれてゆく
水面はただ静かに普遍の輝きを放っていた
「鏡の中の自分」