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12/12/2022, 6:55:59 PM

触れ合って互いの熱を分け合うように、きみと分かりあえればいいのに。ひたすらきみに注ぐばかりの視線から、惜しみない情を伝えられるならいいのに。止めるべくもないきみへの想いが、勝手にあふれ出てすべてバレてしまえばいいのに。自分から踏み出す勇気のないおれは、結局きみの人生のその他多数として役割を終えるのだろう。


// 心と心

12/7/2022, 5:21:13 PM

あそこは僕の特等席なんだ、ってこっそり教えてくれたあなたの表情は、秘密を共有してくれる小さな子どもそのものだった。放課後、誰もいなくなった教室の、後ろ側の壁に沿って備え付けられた、胸の高さの棚。窓際の特等席に腰掛けてみれば、なるほど。すこし空気が違うみたいだ。


// 部屋の片隅で

12/3/2022, 7:42:17 AM

「もしもし、そこのお姉さん」繁華街の眩さに慣れてしまうと、建物同士の間──せまい路地裏なんかは、バックヤードから漏れる程度の明かりしかない。雨が降り光が曖昧に反射する地面の先、とくに暗く見えるそこに、濡れねずみになった男がいた。道路に面した明るいこちら側と、男が座り込んでいる影の混ざり合ったそこは、対極に思えた。僅かに当たる明かりが、男のひどく美しく整った恐ろしさすら感じる容貌を照らしている。「おれを一度拾ってみてくれないかな」


// 光と闇の狭間で

12/1/2022, 7:24:24 PM

もっと冷たい人かと思ってた、って言ってたっけ。それって君が僕を知らなかったからで、けれどそう思うに至る理由があって、つまり遠く離れたところにいたからでしょう。今はどう見えているのか、とろけた笑顔を見せてくれる君に聞いてみようかな。


// 距離

11/29/2022, 4:46:05 PM

そろりそろり、肩を並べて座るあなたに伸ばした手が触れたとき、冷たくて驚かせてしまわないかな。今日の楽しかった出来事を楽しそうに話すあなたを見ればつられて頬がゆるんだ。もう少しで指が触れる。ばちっ。小さな破裂音で話が途切れて、息を飲む。おそるおそるあなたの表情をうかがえば、子どもっぽい意地悪な笑顔と目が合った。「びっくりしたね」


// 冬のはじまり

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