2人で過ごした時間
2人でつくった時間
2人で構築した時間
それが形になったらいいな
お願い
そばにいて
そばにいさせて
これからも、これまでも、大好きだから
もっともっとたくさんの時間と
もっともっと濃くて深い時間を
共有できたらいいね
「ね!今日アイス食べて返ろうよ!今月の新作まだ食べてないの。お願い!行こ?」
「佑美ダイエット中じゃなかったっけ?」
「佑美、そうなの?えー先週のコンビニのときは?あの、叶ちゃんが予定あるって帰った日」
「心たちコンビニでなにしたの」
「叶子、そんな聞かなくてもわかるでしょー。新作スイーツ。春だしー桜だし?心美味しかったね!」
「どうしよ、佑美ダイエット中とか知らなかった」
「なんで心が悲しそうなの」
「佑美のせいでしょ。心は罪悪感」
「なんで!?心、美味しかった!でいいんだよ。私はそっちのほうが嬉しいなー」
「うん、美味しかった」
「それでよし。で、おふたりとも今日」
「アイスはやめとこ佑美さん。叶ちゃんもいいかな?」
「うん、私も。佑美がダイエット終わったらまた行こっか」
「ちょっとふたりとも。新作はいつでも食べれるわけじゃないからね。今食べないと後悔するよ」
「でも、ダイエットしてる人に何度も甘いものって…」
「佑美、心が気にしてるから今日はなし。佑美のダイエットのためにも、心のためにも。おけ?」
「うーん、納得がいかぬ。ダイエットのご褒美だよ」
「佑美のご褒美多くない?ね?」
「だよね、私と先週もスイーツ食べてるし。今日も甘いもの……」
「週1なんてたまじゃん!」
「うーん、月1くらいじゃない?心は?どのくらいの感覚?」
「えっと、ものによるけど。私ダイエットするって決めたときは甘いもの食べなかったし」
「心ストイックなんだよ。息抜きも必要だよ」
「佑美は自分に甘いんだよ。心、それで?」
「どのくらいかはわからないけど、しんどくなりすぎないくらい、ちょっと我慢したあと、かな?」
一年に一度の贈り物
あなたのことを想って
たくさんの時間を使って
喜んでくれるか期待して
頭の中でならばいくらでも赦されるから
一年かけてこの一日にかける
隠し続けなければいけない私の大切な想いを奥底に込めて
叶えるには大きなものと闘って壊さなきゃいけない
あなたへの影響も計り知れないだろうね
あなたを祝っても不思議じゃない特別な日に
1年間の隠した想いを賄賂みたく包んで渡すの
「誕生日おめでとー、今年はね生チョコにしてみたよ!」
ありがとうと笑顔を見せてくれるから、想いは消せない
一番近くて一番遠い、私のたった1人の大切な兄に向けて
3月3日桃の節句
ピンクと白とみどりの日
同じような白い顔をして、
ピンクと青い服に分かれた人形が並ぶ日
ピンクと白は同じなのに
みどりと青の違いが頭の隅にこびりつく
かつて、
みどりは青の扱いだったらしい
青信号と呼ぶのに、みどり色なのはそのせいらしい
いや、逆だ
青色の光が開発されたのは後の話だから、
みどり色の光なのに「青信号」と呼んだのが始まりか
どちらに寄せたのだろう
食欲をもたせるために青をみどりにしたのか
男﹦青のイメージからみどりを青にしたのか
ズラリと並ぶ人形にはみどりを纏うものもある
みどりに戻した可能性もあれば、みどりに寄せた可能性もある
この時期になると浮上する疑問の泡は、
明日になればパンと割れて消えてゆく
そしてまた、1年後フワーと生まれる
「あ、雪平さん。昨日出してくれた資料だけど、数値間違ってるから修正して」
「はい。すみませんでした」
あ、今日中でよろしくという声は心のしぼみを表すようにだんだんと言葉が遠ざかって聞こえた。
はー、またやった。
「怒らない」教育らしい。
なんでも部屋(一応資料室らしい)に向かう途中の喫煙所でそう話しているのが聞こえてしまった。
「よく耐えられますねー。怒りたくなりません?俺とかもうイライラ出してますよ。俺のとこはまだいいほうですけど、それでもなのに、そっちのいろいろやらかし多いって聞いてますよ」
「誰からだよ。ま、怒らない教育だから。てか、怒るだけ無駄だろ。怒ったって変わるわけじゃないし、辞められたらこっちに響く」
「あー、まっそうですよね、あなたは。俺は別に上行きたいとかじゃないんで」
「気楽でいいな。圧がさ、すごいんだよ」
普段なら立ち止まらない臭いだけの場所。タバコの匂いと嫌みな言葉の匂いが混ざりあって気持ちが悪い場所。このときだけは足が動かなかった。知らない男の人と上司の会話。そっちのとは私のとこの部署だ。
はー。頭から消えない。というより上司に注意されるとあの時の光景が上映されるようになってしまった。
しんどいな。向いてないのかな。
落ち続けた就活で、特に希望もなかったけど受けたこの会社に拾われた。周りはやりたいことを見つけてどんどん前に進んでいるみたい。
新人研修で仲良くなった子たちは、できるようになればなるほど私とは関わりがなくなっていった。
…1人を除いて。
実は、最近なんでも部屋によく行っている。
彼女とはそこで会った。はじめましてではなかったけれど。
「お、今日も調べもの?」
クスクスと笑いながら言うのは、いわば2人だけの合言葉になっている。
「んー、なんかあった?」
「こんなのどお?おすすめ」
「へ?社内報?こんなの見てどうすんの?」
「ここ!おもしろいよー」
指を挟んでいたページを開いて渡してくる。私の上司の3年目インタビューだった。
彼女は同期で1、2を争う期待の星。ふんわりわたあめみたいな雰囲気からは想像がつかない。私が届く人ではない。たぶん、私から離れた同期が話したがる子だと思う。それでも、彼女は私といてくれる。仕事のアドバイスも息抜きも彼女からもらってる。
いつか恩を返せるように。
それが私がイマココで働く理由だから。