大魔境コロ助

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2/3/2026, 3:10:26 PM

1000年先も

今日この日、朽ちて倒れる時が来た。
最後は人の手で跡形も失くなる。
その飾られた杉は誰がどういう想いで植えたか分からないけれど、1000年後も大切にされ生きていた事を、1000年先の人は想像出来たのだろうか。
現在も想いが同じであればよかったけれど、朽ちた杉はもう語ることはない。

11/20/2025, 11:45:01 AM

見えない未来へ

1本の紐が地面に這うように延々と伸びている。
昔、幼少期の少年は好奇心に駆られて近付いた事がある。越えようとした手前、叔父に呼び止められて窘められ、恐ろしくなった彼はそれ以降近寄ることはしなかった。
あれから、大きくなった彼は気付く。いつしか取り払われていた事に。それは最初から無かったように跡形もなく消えていた。
あの時、無知のまま越えていたらどうなっていたのだろうか。
男は線のあった場所から先へ進んだ。

8/29/2025, 5:49:31 AM

夏草



花火大会の後、家からの近道だからといって田んぼの畦道を歩く。
月明かりが田畑の水面を反射して稲の間を縫うようにホタルが青く光っている。
手を伸ばそうと足を踏み出すと母に叱咤される。
落ちないようにと手を引く母の後ろ姿に、それを収めようとスマートフォン片手に持つ父。
それを見つけた子供は手を伸ばして父に落ちないようにと母に倣って呼んだ。

8/28/2025, 9:30:36 AM

ここにある


20歳になった彼女は毎年この夏の終わりに行く場所がある。
それは親元の宅の庭の隅で、そこには盛り土の上に乗せられた石がひっそりと存在している。その前で膝を折って打手をすり合わせ、暫く目を瞑って祈る。
この短い儀式にきっと意味はないけれど、終わる頃には心が少し軽くなる。
きっと思うに、形が変わっても有る限りは心が癒されるからだ。彼女はまた来年と言葉を口にしてその場を後にした。

8/26/2025, 5:46:24 AM

もう一歩だけ、

残り100m、ゴールテープを目視する。
息だってもうギリギリだし心臓が痛くてたまらない。
これだけ頑張ったのだから、後続なんかきっともっと後だろう。
下に顔を向けた瞬間影が重なる。
横を見たら真っ直ぐ後ろ髪が通り過ぎて、
前を向けば両手を広げて白いテープを切る彼女がいた。

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