呼吸をあわせて 1 2 3
ホントはもう要らないけれど
鏡写しみたいに君と
向かい合って手を揺らす
リズムをあわせて 1 2 3
ホントはもう大丈夫だけど
鏡写しみたいに君と
同じ速度で足揺らす
口を噤んで 3 2 1
ホントはまだ、でも、だけど
鏡写しの向こう側
君は遠くへ駆けていく
‹タイミング›
虹の果てには宝物
虹を渡れば河向こう
あいたい生命がありました
本当にそれだけでした
‹虹のはじまりを探して›
安らげる場所 憩いの場所
それが水と緑のある場所だという
彷徨い迷った君はそう言って
先の景色へ駆けていく
安堵の色濃い背を見送った
共にはゆかずに見送った
熱と乾燥に生まれた躯じゃ
涼やかな湿度に耐えられない
君の願った天国は
誰にでもでは無かっただけ
‹オアシス›
赤い瞼をしろく冷やして
白い塩をとうめいに流して
声の形はおとのまま飲み込んだのに
いっつも一目でバレてしまうこと
悔しくないのは嘘だけど
嬉しくないのも嘘だったり
‹涙の跡›
近年の君は長袖を着ることが多かった。
日焼けしたくない、なんてお年頃を言って。
なのに明るいレースの窓辺で
手足晒して転寝する君を
馬鹿だなあと思うけど。
その光景があんまりに、
あんまりに眩しいものだから、
未だに何も言えないでいる。
‹半袖›
もしも話は好きじゃない、と
そんな事は分かりきっていて尚
暇だから、なんて雑に投げた話題を
顔顰めながらも地味に真面目に考えて
口開く寸前にテストや賭け事は辞めてねと
言えば案の定また唇が捏ねられる
ふらつく視線が天を床を、
そうして背後に焦点が合って
ならば一つ、と取ってつけたように言う
その先に告げられる言葉を、きっと正確に知っていた
‹もしも過去へと行けるなら›
確たる証拠も無いモノを
『確かな真実』なんて笑ってしまう
本当だと言うのならソの身を以て証明して
何度死のうと何度生まれようと
異種族でも天敵でも食物連鎖の中でも
距離も時間も光年ほどに離れようと
言葉も意志も交わせぬモノと成り果てても
違わず弛まず正確に
余所見もせずに唯一だけを
決して変わらずに見つけては愛し続けて
ソの魂魄が擦り切れても尚
塵に無為に虚ろとなっても!
‹True Love›
曖昧で良いの私忘れっぽいから
カレンダーの印だって分からなくなるわ
適当で良いの私迷子性だから
広げた地図だって辿り着けないの
偶然で良いの私天邪鬼だから
大事な大事な約束事だって
一つも守れた試しが無いわ
逢えれば良いのいつかどこかで
そこにどんな意味があったって
逢えれば良いのいつかどこかで
それがどんなカタチだったって
逢えれば良いのいつかどこかで
あなたに逢えたならそれだけで
‹またいつか›
功績を持って死んだなら
神の目に留まる生き様なら
星となって星座となって
いつまでも天に描かれると
少し前にページを撫でた
無名のまま在り来りに死ぬ
そのほんの少し前の日に
きっと神すら灼き付くような
そんな人になるからと
当然続いていくような日に
遙か未来を描いていた
小さな小さな魂を
神すら記憶しない些細を
掬ってすくって空に落とした
小さな小さなイシだった
星にも為れぬイシだったけど
一際大きく輝いて
眩しく夜空を駆けていった
きっと誰かがまた同じ
同じ願いを掛けて祈る
星が流れて意志を追う
その先にきっと君も居る
‹星を追いかけて›