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3/1/2025, 10:39:03 AM

そこにいくの、 と声がする
始めようか、  と声がする
もう少し頑張ろ、と声がする
休みも大事、  と声がする
あと少しだよ、 と声がする
油断禁物、   と声がする
後悔はない、  と声がする
さあ行こうか、 と声がする
ここにいるよ、 と声がする
未来の私が手招いて
此処までおいで、と声がする

‹芽吹きのとき›


腕の中が赤く熱い液に浸り
酷く熱く荒く呼吸が上がる
あの日みたいと取り憑かれたように
あの日みたいと心が冷えて
 ごぼり、と
目が開いている
そうだ違う、あの日じゃない
腕に収まらない大きな体躯も
床を擦らない短い髪も
あの日の君じゃない
あの日亡くした君じゃない!
震わせない手が鞄を漁る
今の君はまだ生きている!
あの日救えなかった私でも
きっと今なら、きっと今日なら、
君を救う、絶対に!

‹あの日の温もり›


淡色ドレスシャツふわふわスカート
長い髪にリボンとレース
色白お肌に適度な血色
きれいな瞳と細い指
うさみみ肉球素直な尻尾?

君の好きなの全部継いで
継いで継いで継いだのに
君はまだこっちを見ない
……今度は何に見惚れてるの?

‹cute!›

2/27/2025, 10:20:44 AM

僕にできるのは記録であり、
記憶には遠く及ばないのだと、
君は胸を張っていた。
濃淡も明暗もまちまちに消えやすく、
歪曲とフィルターで不確定になる、
印象だけ残された架空のビデオが、
それほどまでに素晴らしいのか、
分からないのは僕に感情が無いせいか

‹記録›


帰るまでが遠足で
終わりよければ全てよし
だけど
どうしようもないエンディングでも
希望も救いもない最後でも
きっと君の心の中
膿腐る傷の一つにでもなれたなら

‹さぁ冒険だ›

2/25/2025, 9:59:55 AM

君の為に花を一つ
例えば君の歩く安全な街並み
例えば君の笑う無限の感性
例えば君の登る夢のステージ
例えば君の学ぶ多彩な国々
例えば君の繋ぐ愛情のカタチ

君のゆく未来に一つの花を
私が贈る一つの花を
皆で合わせて君達に贈る
精一杯の花束を

‹一輪の花›


「『十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない』とは言うけどさ、そうしたらこのオカルティックファンタジーとかも、未来にはただの事実事象になっていたりするのかね」
「まあテレビ通話に映写機合わせたら、ほぼこの通信魔法とおんなじ見た目になるよね」
「帰宅した時には洗濯も掃除も終わって冷暖房ついてます、とかドワーフか妖精の扱いになってそう」
「空も水上も宇宙も深海も行けます、カッコ尚って奴だけどまぁコレ正気の疑いから入るかね」
「それまず地上空中の移動速度ぶん投げた方がひっくり返るやーつ」
「雨乞い諸々系は魔法より神様になりそうか」
「秒で育って実るとかもマジね」
「身体生やせるはアクションファンタジーだと想います!」
「バベル塔無くても言葉通じるしなぁ」
「後は何が科学技術に落とされるかな」

‹魔法›

2/23/2025, 9:14:57 AM

虹の麓には宝物があると
君は笑って指を差した
遠い遠い景色の向こう
きっといつか一緒に行こうと

虹の麓には花畑があって
君は俯き泣いていた
遠く遠く川の向こうへ
君と共には行けなくて

‹君と見た虹›

2/22/2025, 12:35:53 PM

「はい始まりました夜空最速選手権。
 司会は私、いつでもあなたを見守る満月と」
「実は固定化されてません、実況の北極星で
 お送りします」
「さて選手達も続々と登場しております。
 それぞれ意気込みを伺いましょうか」
「ではエントリーナンバー1番、
 夜空を走ると言えばこの方、流星選手!
 今回は流星群の皆様とご参加ですね」
「空を飾るに相応しい姿、見せ付けて行きます!」
「流石は流星選手、激しく燃えております」
「流星選手は燃え尽き症候群のハンデが
 ありますからね…」
「表彰台にたてるかの問題がありますか…。
 気を取り直してエントリーナンバー2番、
 一晩に世界中、計算上は光速を超えると噂
 サンタクロース……のトナカイ選手!」
「こちらもチームでご参加ですね」
「最速のトナカイを決めに来た。他は知らないな」
「なんという自信!他の選手には目もくれない」
「例年は協力して重いソリを引いておりますが、
 単独走になることが吉と出るか凶と出るか」
「エントリーナンバー3の飛行機選手は
 少々到着が送れている模様です」
「最速選手権でこれは幸先の悪いスタートですね」
「スタート時刻に間に合わない場合は
 強制失格となりますので皆様ご承知おきを」

‹夜空を駆ける›

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