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11/13/2024, 1:00:40 PM

「ちゃんと君の隣に立てるひとになって、
 絶対に戻ってくるから」
「だから君もちゃんと元気に生きていてね」
「……ね、泣かないでよ」
「今生の別れになんて絶対させないから!」

‹また会いましょう›


「さて、世の中には危険を冒すことで得る
 快感があるという」
「何、一概に否定する訳じゃあ無いさ」
「ただね、万引きや借りパクと言う奴。
 あれはいただけない」
「一つの盗みが何重も重なって店を潰し」
「あるいは持ち主の宝物かもしれないものを奪う」
「するとどうなる」
「店主や従業員は路頭に迷い」
「本来の持ち主は心を折ってしまう」
「するとどうなる」
「その出来心のせいで、誰かが命を摘んでしまう。
 往々にして、それがありうるのさ」
「嘘つきは泥棒の始まりとは言うがね」
「窃盗は人殺しの始まりさ」

‹スリル›

11/11/2024, 11:58:51 AM

君の隣りに居た
平らな背中をした君の

地を走る君が好きで
いつも空から声を掛けた

空を夢見る君が好きで
君を抱えて飛ぶ練習をした

光の似合う君が好きで
良くないモノを沢山祓った

でも君が
空を行く姿が気に障ると
大きな翼が嫌いだと言うから
見たくもないと泣くから

そしたらそうしたら
しょうがないから
それでも君が好きだから

白い羽を腐り落とした
連なる骨を粉にした
初めて地に着いた脚ごと
翼を命を絶った体が崩れ落ちた

……不思議だな
どうしてそんなに驚いているんだろう

‹飛べない翼›

11/11/2024, 10:15:37 AM

白茶色が波打つ度、金の水面を幻視する。
広く、一斉に風をざわめかせる中、
不自然に揺れ止まる影へ、
強く光らせた画面を掲げる。
背の高い海を掻き分けて振られた手に、
招き返しながら明かりを消した。
「完全に迷ってたわ助かった」
「んな奥まで行かなきゃ良かったろ」
「手前はおチビ達に取っとかないとな」
ざわりと揺れる。刈り取られた波が揺蕩う。
少しばかり滲む赤に消毒液を探す、と。
ふわり頭を飾る触覚。
「……器用だこと」
「穂だけだしな」
溢れ落ちた毛が僅かに首を刺す。
そうと穂冠を正しながら、吐息に視線を辿る。
いつも通り読めない瞳と、いつも通り目が合う。
「これも意味があんの」
「さてね」
似合ってはいると叩かれる軽口も、
見つめ続ければ明確に唇を吊り上げて。
「良いよ。好きな意味選んで受け取れば」

‹ススキ›

11/9/2024, 12:33:01 PM

誰でも良い、
俺の頭蓋を開けて脳に焼き記してくれ!
死の代償なぞこの光景だけでいい!

‹脳裏›


恋を出来ないけど好意くらいは分かった
愛の認識は無いけど慈しむくらいは出来た
区別を理解しないけど平等くらいは成せた
ひとの育て方なんて何にも知らなかったけど
知識と環境を整える余裕はあった
ひとでなしだってできることだった
ここに正しさが在ったかは
最期に至っても解答は無いけれど

‹意味がないこと›

11/7/2024, 10:25:19 AM

わたし達
生きる為の栄養を
何でも好きに
選べたのなら

‹あなたとわたし›

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