白茶色が波打つ度、金の水面を幻視する。
広く、一斉に風をざわめかせる中、
不自然に揺れ止まる影へ、
強く光らせた画面を掲げる。
背の高い海を掻き分けて振られた手に、
招き返しながら明かりを消した。
「完全に迷ってたわ助かった」
「んな奥まで行かなきゃ良かったろ」
「手前はおチビ達に取っとかないとな」
ざわりと揺れる。刈り取られた波が揺蕩う。
少しばかり滲む赤に消毒液を探す、と。
ふわり頭を飾る触覚。
「……器用だこと」
「穂だけだしな」
溢れ落ちた毛が僅かに首を刺す。
そうと穂冠を正しながら、吐息に視線を辿る。
いつも通り読めない瞳と、いつも通り目が合う。
「これも意味があんの」
「さてね」
似合ってはいると叩かれる軽口も、
見つめ続ければ明確に唇を吊り上げて。
「良いよ。好きな意味選んで受け取れば」
‹ススキ›
11/11/2024, 10:15:37 AM