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11/6/2024, 12:36:18 PM

静かな雨が降っていた
細やかな雨粒は優しく肌を撫で
午後のぬるんだ空気に触れて
むしろ温かくすらあった

涙を隠すように
激情を鎮めるように
灰雲が薄闇を抱き
喉震わす言葉は
風が巻いて逝った

やわらかなやさしさが降り頻る
花を枯らし根を腐らせる
実を落とし種子を沈める
心地良いだけの毒物を
そうと知れど尚手放せず

‹柔らかい雨›

11/6/2024, 9:45:47 AM

ばかみたいっていわれるけれど。
あんまりに眩しすぎた世界の中で、
ただ一時だけ影を傾けてくれた。
そのひとに救われたのは確かだった。

‹一筋の光›


枯れ葉舞う樹に立ち竦む
隣の君は指をさす
花色染める幹枝を
芽吹きゆく小さな瘤を
積雪咲かす日を
繰り返し彩る季節を
隣にいた君は指差した
一人未来を指差した

‹哀愁を誘う›

11/4/2024, 5:29:56 AM

鏡に対して「お前は誰だ」と問うてはいけない
自己崩壊してしまうかららしい
鏡に対して「褒める」行動はしたほうが良い
自己肯定感を上げられるかららしい
私は見ない鏡を見ない
そんな怖いもの見てられない

‹鏡の中の自分›

11/2/2024, 1:52:08 PM

「……うん、そう。よかったね」
「ん?ふふ、そうね。明日もいい日よ」
「大丈夫、きっと楽しい夢を見れるわ」
「うん、うん。おやすみなさい」

「……おやすみ。どうか、いい夢を」

‹眠りにつく前に›


不変は退屈で
停滞は焦燥
不動は無理で
継続は困難

「だから永遠なんて人には叶わないんだ」
「……叶わない筈、だったんだよ」

‹永遠に›

10/31/2024, 1:00:41 PM

「好きな物を好きなだけ食べて」
「好きな時に好きなだけ寝て遊んで」
「好きな人と好きなだけ一緒に居られる」
「そんな夢みたいな世界が有ったとして」
「それでも『好き』が一致しない時」
「あるいは『嫌い』が一致しない時」
「そこは容易く天国から」
「無限の地獄に変化する」
「例えばお菓子しか無い世界の甘味嫌いみたいに」
「例えば性交が自由な世界での性嫌悪みたいに」
「例えば皆で騒ぐ世界で一人でありたい人みたいに」
「例えば誰も死なない世界の殺人愛好家みたいに」
「例えば個性重視の世界でお揃いしたい人みたいに」
「例えばこのどうにもならない世界での君みたいに」
「すべては善悪じゃなく」
「ただ好悪だけで決まっていく」
「だから」
「万人にとっての必ずの幸福は叶わない」
「『幸福』の形は誰もが一致はしないから」

‹理想郷›

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