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5/22/2024, 12:37:00 PM

じゃあね
バイバイ
さようなら

いつも軽く手を振る友人に
常日頃思っていた不満だった

「どうして『また』って言ってくれないの」

一つ瞬いた瞳が淋しく細められて

ーーーー鳴り響く鐘の音

目が閉じられていくと共に
端から消えていくその身体を
崩れていく光景を
組み立て直される世界を
記憶へと還っていく全てを

「きみが『二度と』来ないからでしょう」

夢の残滓が一欠片
忘却の海に消えていく

<また明日>

5/22/2024, 9:59:01 AM

わたしだけを吸って
わたしだけを飲んで
わたしの中だけで循環したなら
せかいはきっと平和だったのに

生命は貪欲で
生命は真っ直ぐで
そしてきみは未来を目指すから

産声を上げたきみを祝福する
外へと旅立つきみを祝福する
どうかきみを満たすものが
きみにとって善いものであるように


<透明>

5/20/2024, 11:00:40 AM

たとえば生まれた時からそばにいて
同じ家で同じ部屋で過ごして
同じものを食べて同じ経験をして
同じように当たり前のように
二人成長して大人になって
なんだかんだ死の際まで隣にいれたら

なんて

別に嘘でもなかったけれど

あなたがそれで幸せになれないのなら
そんな約束投げてしまってほしかった

あなたに幸せになってほしかった
ただそれだけだったのに

<理想のあなた>


知ってるかい 知ってるかい
エレベーターで喧嘩しちゃいけないよ

知ってるさ 知ってるさ
狭いとこの喧嘩は大迷惑だ

知ってるかい 知ってるかい
相手を残して出ちゃいけないよ

知ってるさ 知ってるさ
捨て台詞で逃げられちゃうんだ

知ってるかい 知ってるかい
今はそうでもないそうだが
吊る紐が切れて 吊り紐が切れて
箱ごと真っ逆さま御陀仏と

知ってるさ 知ってるさ
だから此処から出られない
ごめんなさいも言えないのさ

<突然の別れ>

5/18/2024, 11:48:47 AM

「物語。そう、物語だったのよ」
「魔王がいて怪物がいて、勇者がいて魔女がいて」
「サンタもおばけもいて、宇宙人も未来人もいて」
「でも、現実にいると信じられていないでしょう」
「全部空想の、想像の産物だったでしょう」
「だからおんなじだと思ってたのよ」

「誰かを恋して愛するなんて」
「ただの物語上、よくあるだけの設定だと」
「嫉妬、執着、依存や崇拝の体の良い言い換え、
 あるいはただの夢物語の憧れだと」
「そう思っておかしくないでしょう」

「だから、ごめんなさいね」
「きっととても喜ぶべき言葉だったんでしょうけど」
「その気持ちを私は返せない」
「ーーーその感情を、私は一生知り得ない」

<恋物語>


例えば善い子が眠りに就いた後
例えば短針が頂点を廻った時
あるいは草木もすっかり眠る頃
あるいは空の色が変わる直前

一番誰も見てない時間
悪いことの代名詞

それでも確かに誰かを救う
優しい闇の覆う時

<真夜中>

5/17/2024, 9:06:28 AM

愛していたのでしょう、と声がする
今でも愛しているよ、と声を返す
ならばどうして、と声がする
怨めしくはないの、と声がする
今こそ復讐を、と、
声を断つ

それは一番しちゃいけないこと、と呟く

世界の為に誰かの愛を刈ったのだから
これまでずっとそうだったのだから

それは一番してはいけないこと
己の愛の為に世界を歪めるのは
この身が最も許されないこと
決して許してはいけないこと

<愛があれば何でもできる?>

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