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4/29/2024, 3:50:08 PM

晴れ空のように澄みわたり
星花みたいに麗しく
陽光がごとく明るく
真実と誠実を心に
大地を駆け
海風を拓き
未来を望み
春夏秋冬を数え
永久を想い
刹那を慈しみ

君が
この世に産まれ落ちた君が
いつまでも幸せの中に在ることを
愛をもってその名に祈る

いつまでも祈っている

<刹那>

4/28/2024, 7:33:32 AM

「生き物はね、次代に命を繋ぐのがお仕事よ」
「でもね、それを果たす手段は別に、
 子供を産むことだけじゃないのよ」

「赤ちゃんを無事に取り上げるのも、母子を補助する
 のも、無事に命を繋ぐのに大事だし」
「食肉や野菜を育てて、市場に回して、加工して、
 口に入るようにするのも不可欠だわ」
「教育、医療、遊び、芸術、他にも皆。健全に安定に
 次代のまたその次の次を繋いで行くのに必要な事」
「父母の代わりに社会を回すのも、当然そう」
「自分の次代を繋げずとも、誰かの次代を繋げる
 なら、その全てに意味があるわ」
「皆、自分に出来る事で、自分達の種の次代を繋いで
 いくの」

「でもね、自分に出来る事を、その意味を
 一つに固定しない方が良いわ」
「それが果たせなくなった時、
 それを果たしてしまった時、
 其処から先の生に対して、
 意味を、価値を、見失ってしまうから」
「無価値を自覚して生きることは、
 ただ生きることより、死んでしまうことより、
 ずっとずっと難しいこと」
「難しいことを続けるのは、当然難しいもの」

「……そう伝えていくことが、
 私の役目だと信じているの」

<生きる意味>

4/26/2024, 2:08:53 PM

正義の反対は悪ではなく、異なる正義なのだ、という話を思い出した。
敵百人を倒した英雄が、味方百人を殺した大罪人と言えるように。
全てを救うかみさまが、数多の信仰を食い潰し煽動するように。
あるいは、ショートカットとロングヘアのどちらが似合うかの論争みたいに。きのことたけのこと赤と緑とチョコの有る無し中か外かみたいに。
己の思想が有る限り、誰かにとっての悪とならないことは無いのだ、と。
完全な善人には至れないヒトをみて思う。

<善悪>


一瞬の突発的な出来事にすら3回を唱えられる程、
常に願い行動しているからこそ、流れ星は叶うのだという。
「でもきっと、それも嘘だ。何回唱えたって、
 ただの一度も叶ったことなんて無いんだから」
空を睨むその顰めっ面が、どうしても愛おしくて、
何を願ったのと問うた。
随分ともにょった挙げ句、言い辛げな唇が溢したのは、案外に俗物的な願い事で。
思わず笑ってしまったから、そっぽを向いた機嫌を直すのが大変だった。

謂わば、叶わぬなら 叶えてしまえ 時鳥 の気持ち。
明らかに誤魔化しのある願い事は、何処まで真実かは知らないけども。きれいなお家に可愛いペット、不自由なく使えるお金と時間。まあ諸々の都合上、結婚相手な自分なのは申し訳無くもあるけれど。
全部揃えて、準備万端整えて。無事での言葉に笑って、言葉にしないさよならの代わりに手を振った。
軌道エレベーターが出来てから、流れ星が増えた理由を把握していたから。

画面の向こう、とある宇宙作業員が一人、
事故に因り大気圏に突入して燃え尽きたと。
「……やっぱり、叶わないじゃないか」
「無事に還ってきて欲しかったのに」

<流れ星に願いを>

4/25/2024, 12:58:14 PM


「君も大概難儀な魂だな」
白い駒が一つ進む。僅か細まる真鍮を見ないように。
「命題が『想い人を追い掛ける』なんてさ」
「そうですか?」
黒い駒が一つ動く。馬の嘶きは悲しげで。
「だって君、万が一想い人に追い付いてしまったら、そこでお仕舞いなのだろ」
「そうですね」
白い駒が一つずれる。血の気のない指先が踊るよう。
「一度目は確かに其所で尽きました」
「かといって、追い掛けないならそれはそれで
また終いなのだろ?」
黒い駒が一つ飛ぶ。塀も越える軽やかさで。
「ええ、五度目くらいにそれで失くなりました」
「望みを叶えるためにあがき続ける間しか生きられないのを、難儀と呼ばずして何て言うんだ」
白い駒が一つ添う。小さく零れた幸福の微笑み。
「一度、突然終わってしまったことがありました。
 私の想い人が、私より先に召されてしまったので」
「……其処まで前提条件が要るのかい」
黒い駒が一つ倒れる。挫け倒れた旅人のように。
「でも。ということは。私が追い掛けられるのは、
 あの人もまた私の事を求めてくれているからだと」
白い駒が一つ転がる。盤上にただ一つきり。
「幾度の生でも変わらぬ執着を、僥倖と呼ばずして
 どうすれば良いのですか」

<ルール>


「ごしゅじん、また雨?」
「また雨、みたいだねぇ」
傘の上、飽きもせず音を立てる雫は
相も変わらず重く塩っぽく。
たまには見たい明るい日差しも、
暗く沈鬱な影に隠れて。
「いかないの?」
「ん?ああごめん行くよ。今日は何処だっけ」
「川のきのぞ。雨でおいしくなる」
「当たり」
「でもあんまりおいしくない気がする?」
「おっと、よく気付いた」
毎日雨雨雨模様の川岸は酷く荒れ、
半ば以上水に浸かった葉を引き抜く。
生き生きとしているように見えて、その実
ぐじゃぐじゃにふやけて崩れ落ちる。
「きのぞが美味しいのは雨が降った後に晴れるから」
「……ずっと雨?」
「そういうこと。大事なのはどれだけ差があるか」
絶望の雨に浸り溢れるようでは、このご主人も長くなかろう。

<今日の心模様>

4/22/2024, 11:08:13 AM

「さあ見ていってよ、きみのために贈る魔法だ」
「一生に一度っきりの大魔法だ」
「きみの笑えない世界なんか、」
「みーんなまとめて終わってしまえ!」

<たとえ間違いだったとしても>


ころり、と転がり落ちる煌めき
床に砕ける高い音
ころり、と転がり落ちる硬質
頬に描かれる赤い化粧
ころり、ころり、と
宝石を零し続ける閉ざされた瞼
ころり、ころり、と
零れゆくいのちのあたたかさ

<雫>

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