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正義の反対は悪ではなく、異なる正義なのだ、という話を思い出した。
敵百人を倒した英雄が、味方百人を殺した大罪人と言えるように。
全てを救うかみさまが、数多の信仰を食い潰し煽動するように。
あるいは、ショートカットとロングヘアのどちらが似合うかの論争みたいに。きのことたけのこと赤と緑とチョコの有る無し中か外かみたいに。
己の思想が有る限り、誰かにとっての悪とならないことは無いのだ、と。
完全な善人には至れないヒトをみて思う。

<善悪>


一瞬の突発的な出来事にすら3回を唱えられる程、
常に願い行動しているからこそ、流れ星は叶うのだという。
「でもきっと、それも嘘だ。何回唱えたって、
 ただの一度も叶ったことなんて無いんだから」
空を睨むその顰めっ面が、どうしても愛おしくて、
何を願ったのと問うた。
随分ともにょった挙げ句、言い辛げな唇が溢したのは、案外に俗物的な願い事で。
思わず笑ってしまったから、そっぽを向いた機嫌を直すのが大変だった。

謂わば、叶わぬなら 叶えてしまえ 時鳥 の気持ち。
明らかに誤魔化しのある願い事は、何処まで真実かは知らないけども。きれいなお家に可愛いペット、不自由なく使えるお金と時間。まあ諸々の都合上、結婚相手な自分なのは申し訳無くもあるけれど。
全部揃えて、準備万端整えて。無事での言葉に笑って、言葉にしないさよならの代わりに手を振った。
軌道エレベーターが出来てから、流れ星が増えた理由を把握していたから。

画面の向こう、とある宇宙作業員が一人、
事故に因り大気圏に突入して燃え尽きたと。
「……やっぱり、叶わないじゃないか」
「無事に還ってきて欲しかったのに」

<流れ星に願いを>

4/26/2024, 2:08:53 PM