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3/7/2024, 12:21:52 PM

「夜道に気を付けろって脅し文句有るじゃん」
「あるねぇ」
「何で明るい日が前提なんだろ?」
「相手から見えないけど、相手も見つからないからじゃない?」
「そっかー。真っ暗な日にやってくれたら狩りやすいのになぁ」
「そうだねぇ」


「其処の君に言ってるんだよ」


<月夜>

3/7/2024, 9:04:54 AM

あまり良い意味ではなかったんだよ、
指同士を繋ぐ色糸を辿って彼は言う。
人を結ぶ暖かさじゃなく、
家畜を繋ぐ綱だったのだと、
糸の先の私に言う。

貴方と私、畜生はどっちだったのかしら
分かっていて私は問う。
随分と高評価なんだね、
溜め息を付くように貴方は答える。

赤とは反対色の糸に繋がる、
貴方と私の定めを嗤う。

<絆>


ハイネックのシンプルワンピ
マキシ丈のスカートと幅広ベルト
帽子とネイルはお揃いデザイン

警察も好奇の目線も知ったことか
反物の色もモチーフも全部計算ずくに
現代の着物スタイル、最前線は此処なのだ!

<たまには>

3/5/2024, 9:58:59 AM

「それ俺に聞く?」
「何か色々意味出てきてややこしい」
「あー……取り敢えず、まあまあ一発でヤバイの以外はあんま気にしなくて良いと思うぞ」
「一発?」
「明らかにクソ高い奴とか、指輪とかリボンとか」
「装飾も駄目なんだ?」
「違う違う『プレわた』って奴」
「……………リアルにいるの?」
「居るんだわコレが……」
「こわ……戸締まりしとこ……」
「素直に菓子とかで良いんじゃねえの」
「マシュマロは『嫌い』って知って泣いた」
「多分商売のアレだから深く気にするな……」

「で」

「良いのかコレで」
「良いんだよコレで」
「いや好きなモン選べるのは良いっちゃ良いんだが」
「何だよもっと喜べよデートだよ」
「……成程確かに」


<大好きな君に>

3/4/2024, 9:07:21 AM

出先で見かけた赤い雛壇に足を止めた。
私の家に飾られていたのは最上段の二人だけだったから、二桁に届いていそうな大きく豪華なそれが珍しかったのだ。
「三人官女と五人囃子と……赤い方が右大臣だっけ」
人形達の細かな役職も飾られた道具の意味も、今となってはほとんど忘れてしまったが。案外3番くらいまで思い出せた歌をなぞって顔を覗き込む。
「……単純に、『綺麗な人』って意味だと思ってたんだけどね」
官女の真っ白な顔に、『お嫁に入らした姉様』の苦労を忍ぶなど。そんな大人の哀しみを、赤い夕日と共に背負い歩き出した。

<ひなまつり>

3/3/2024, 7:46:00 AM

朝日に金を帯びた切先が、真直ぐに振り下ろされる。
 一時は危篤を叫ばれながら、五体満足で復活して見せた彼。戦神だと崇める民衆と、太陽だと沸き上がる兵士達と、私は果たして同じ色の瞳で見ることが出来ていただろうか。
 綺羅綺羅しい演説も、勇敢さを彩る顔の傷も、彼らにとっては強靭の証明でしか無いのだろう。
 次が必ず勝利の時だと、張られた低い声。そうだ、そうだろう。私は知っている。
 呑み込むような歓声は、其処に滴る痛みの色を知りもしないが。
 
星が死ねば何となる。砕け消えぬ程の巨星であれば。
民を導く大きく光輝く星であれば。
ーーー其処に残る絶望は、彼の餞に足りもしない。

<たった一つの希望>

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