1/10/2024, 11:13:06 AM
やあ久し振り、元気だったかい。
ずいぶん大きくなってまあ……
もう大人の仲間入りだって?
それはよく頑張ったね、おめでとう。
夏にはそっちに帰るからさ、そうしたら念願の飲み明かしをしようじゃない。取って置きのおすすめ期待してるよ。
うん、だからね。僕がそっちに行くからさ。
君はまだ此方に来るんじゃないよ。
<20歳>
1/9/2024, 10:19:37 AM
そう言えば、君の描く月はいつもそうだった。
なぞる指先、黒鉛の色。白む程に薄い黒。
「あの人は、夜空にはよく三日月を描いていた」
「でもね、いっつも逆向きに描いていたよ」
「昔はなんとなく、今は手癖が過ぎてどっちか分からなくなっちゃったんだって」
「だからね、君がこれを三日月の絵と呼ぶのなら」
「『君』は『あの人』ではないんだね」
<三日月>
1/9/2024, 10:04:17 AM
綺麗でしょう、と君が笑った。
綺麗だね、と僕も返した。
ひらひら散っていく花弁を惜しむこと無く、
くるくる舞う足元は一つとて同じもの無く。
白い肌を裂いて咲き誇る花畑を、
一つも明かされなかった花言葉を。
僕達は口にすること無く、
ただ拒絶した別離と共に、
『今』の美しさだけを享受する。
<色とりどり>