・あの夢の続きを
君が描いた夢物語、周りも君自身もただの空想話だと笑ってる。
でも俺だけはいつか現実になるって信じてる。
たとえどれだけ有り得なくても、君がその夢物語を忘れたとしても。
俺だけはいつまでも君が描いた夢に希望があると信じているんだ。
だからどうか忘れないで。俺がずっと君の夢物語を楽しみにしていることを。君の夢物語がいつか思い出話になってほしいと祈っていることを。
・幸せとは
甘いものを頬張る君。
残業で苦い顔をする君。
停電に慣れている君。
黙々と書類を整頓してる君。
そんな君の日常にボクが当たり前のようにいることが皆の言う"幸せ"なんだろうね。
「ふふ、いつか実感出来たらいいんだけどね」
「えっ?このふわふわスフレパンケーキがまだ夢だと思ってるんですか!?」
「そうだね。流石にこのサイズ感は夢であって欲しいと思うよ」
胃もたれするぐらいこんなにも可愛らしい"幸せ"がいつまでも続きますように。
・新年
「あけましておめでとう」
と、毎年恒例の挨拶を交わす。
特に面白みも何もない普遍的な挨拶だ。
それでも見知った顔と毎年同じ挨拶が出来ることは俺にとってはありがたい話である。
「今年もよろしくね」
そう笑顔で伝えてくれる君にとっても、毎年同じように訪れるこのやり取りを少しでも喜んで貰えてたら良いのに、と密かに思うのであった。
・距離
モニター越しの君の声。
耳から入ってくる柔らかい音はまるで囁かれているかのように感じるのに、君はどうして僕の隣に居ないのか。
「愛してる」
寂しさを紛らわすように吐いたその言葉はちゃんと君に届いていたらいいのにと、そう願わずにはいられない。
出来れば君の中の僕が誰よりも大きくて身近な存在でありますように。
・終わらせないで
何となく終わりを察してしまった。
こんな時だけ察しが良くなったってちっとも嬉しくない。
今更になって君の考えてたこと、君の見ていたもの、君が求めていたものが分かったところで、君がここから離れることはもう変えられようがないんだ。
本当に愚かでどうしようもないね。
せめて終わりを自身の手で迎えていたのなら、まだ心は穏やかだったのだろうか。
君が下ろす幕を眺めながらそんなどうしようも無いことを考えていた。