異雪

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8/12/2025, 8:47:55 PM

・真夏の記憶

「こっち来ないで」
なんて、暑がりの君なら昔はそう言ってたはずなのに。
それが今じゃ季節関係なく俺に引っ付いている。
……いや、正確には俺に"引っ付かれている"のだけど。
座ってる彼女の後ろからいつもの様にハグをしているが昔ほど拒否はせずその場に居座ってくれるのは、きっと彼女なりの信頼と甘えなのだろう。
「あっづいなぁ……」
「……ふふっ」
「え、なに」
「いつの間にこうなったんだろうねぇ」
本当に、いつからこんな風に気を許してくれるようになったのか。
うりうりと彼女の頭を撫でながら昔を思い出そうとしてみるが、自分のせいで暑さに耐える羽目になった彼女の様子を見ているとわざわざ思い出す必要も無い気がして。
「これからも熱中症にならない程度に甘えさせてね」
祈りにも似たワガママを伝えて今日も彼女の頭に頬を擦り寄せるのだった。

2/1/2025, 4:27:03 PM

・バイバイ

貴方と別れただけじゃない。
未練と別れたの。
情と別れたの。
思い出と別れたの。
望んでいた未来と別れたの。
たった一人の人間と離れただけで私は沢山のものに別れを告げなきゃいけないのに、貴方は「私」と別れるだけで終わるんでしょう?
そんなの許せるわけないじゃない。

せめて私が、貴方への怒りや憎しみともお別れ出来ていれば良かったのにね。

1/30/2025, 9:10:37 PM

・まだ知らない君

ご縁が無い、と嘆く君を慰める。
俺からすればわざわざ一緒にいて不安になるような人との縁なんか無くていいと思うけど、彼女の求める縁がそれならば仕方ないのだろう。
"俺にすればいいのに"
今日も飲み込むこの言葉をいつか君にぶつけられたら、俺は君の思うご縁になれるのだろうか。

1/18/2025, 4:28:20 PM

・手のひらの宇宙

綺麗も汚いも漂う空間。
得体の知れないモノと交信。
流れる星の燃えゆく姿。
眺め続けりゃ痛める目と首。
手のひらの宇宙はいつだって身近な存在で、それでいて一番に人類に優しくないね。

1/12/2025, 3:01:35 PM

・あの夢の続きを

君が描いた夢物語、周りも君自身もただの空想話だと笑ってる。
でも俺だけはいつか現実になるって信じてる。
たとえどれだけ有り得なくても、君がその夢物語を忘れたとしても。
俺だけはいつまでも君が描いた夢に希望があると信じているんだ。
だからどうか忘れないで。俺がずっと君の夢物語を楽しみにしていることを。君の夢物語がいつか思い出話になってほしいと祈っていることを。

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