小さい頃はあんなに大きく見えたジャングルジムも
今では同じくらいなのではないか?と
見間違える程、背丈が伸びてしまった。
小さい頃はこのジャングルジムを乗り越えるだけで
目標は達成され、心を満たし
満足していたというのに。
大人になるにつれて夢は大きく
ハードルの高いものに姿を変えてゆく。
そんな日々に疲れ果てたのか
気付けば私は、あのジャングルジムの上に乗り
清々しい空を見たあの眼を忘れている。
また、あの空を見る事は出来るだろうか
また、あの感情を取り戻す事は
叶うのだろうか。
いつもと変わらない日常
私はいつも通り友人と話して
ただ馬鹿笑いし
だらだらしながら帰路につき
帰宅する
重いバックを下げ
制服を脱いで
部屋のクッションに沈み込むと
漠然とした不安が蝕んでいる
どんなに耐えられる心も
塵も積もれば山となるのか
想いをぶちまける
その時声が聞こえるんだ
いつも君はそうだね、と
私は責任感と後悔にも蝕まれていくのを
覚えた
自分一人の部屋に嗚咽する声が
鼓動が速まるのを
加速させた
脳内に声が聞こえるんだ
自分なのに自分じゃない声が
その声を聞いて吐き気を催すのだ
幸い吐いた事は無いが
それがまた苦しい
頭がおかしいなんて
とうの昔に分かっているのに
どうしようも無いのだ
この声さえ聞こえなければ
全てが楽に出来るのだろう
そんな事を続けるのが嫌になったあの日
私は終点についた。
時刻は20時
貴方のいる方向に
車が猛スピードで直進してくるのが
遠目から見えた。
ここで貴方を止めればきっと
きっと助かる
けれど、ここからでは間に合わない
頼む、時間よ止まれ
止まってくれ
貴方の気を悪くさせなければよかった
そうすれば、まだここに居て貴方は危険な目に
あわずに済んだだろう。
だが
もう私には
どうしようも無くなってしまった
お願いだ、時間よ止まってくれ。
貴方との時間を永遠に止めないために
もう一度、続ける為に
私は今恋をしている
貴方の横顔
貴方の髪
貴方と目が合う時
貴方の声
貴方の手
貴方の動き
貴方の何もかもが私にとってはとても愛おしく
心ときめくのだ。
ずっとこちらを見ていてはくれないだろうか
もしそれが叶わないなら自らを殺してでも
貴方に私を印象付けよう。
それほど私は本気なのだ。
私のこの本気の恋は
世間的には歪んだものなのだろう。
ただそうだとしても
密かに想い続けているのだから
誰も気づかないだろう?
君とのこの時間は
世界に一つだけしかない。
ただ会話をするだけでも
他のところで同じ人が同じ会話をする
なんて事はないから
君との時間は世界に一つだけなのだ。
一緒にうっとりしながら過ごしたあの日も
世界に一つだけで、かけがえのない宝物だ。
そして、今日また世界に一つだけのものが増えた
ただそれは、私にとっては
とても受け入れ難いものだった。
世界に一つだけの君の葬儀場。