ある日の私は、とても気分が落ち込んでいた。
列車に乗り、暖房のきいた暖かい空気を吸った。
窓側の席に座ると、小さくため息をついた。
私なんか、必要ないんじゃないかとか思って、いっそ消えてしまいたかった。消えて、最初から居ないことにしてしまえば、私はもう、傷つかずに済むのかもしてないと思った。
消えて、また現れた時、私はみんなと初めて会って、その学校の、転校生とかになれたら、また新しい学校生活を送れるんじゃないかと思った。
そして、今までの私は捨ててるわけだから、自分の好きなように、好きな人と、好きな友達と、1からやり直したいと思っていた。
今までの思い出がよみがえって来たから、心がぐちゃぐちゃになって、めに涙が溜まって、外の景色が、明るく霞んで見えた。
目を洋服の袖でこすった。洋服は、涙のせいで、そこだけ色が濃くなっていた。
ふと、窓の外を見ると、目を疑うような光景が広がっていた。
大きなグジラや、キラキラと鱗を輝かせながら泳ぐ小さな群れの魚、カメも、スイスイと泳いでいた。
少し遠くを見ると、そこには草原と青空が広がっていた。青空は、海と繋がっていた。そして、草原には、ライオンや、シマウマや、キリンが大きな綺麗な池で仲良く水を飲んでいた。そして、全てと繋がった空には、白い鳥が羽ばたいていた。白すぎて、目を閉じたくなった。
その時、私に憂鬱とか、悲しいとか、そんな気持ちはなくなっていて、綺麗なものを見れた嬉しさと、驚きと、ワクワクが重なって、なんとも言えない素晴らしい気分にひたっていた。
列車をおりた時、また頑張ろうという気持ちが、心に小さな芽を出した。
その芽を私が、愛情を込めて、育てていこうと思う。
あなたのことが大好きだから、あなたのダメなところは見て見ぬふり。
というか、ダメなところも大好きだった。
他の人がやったら絶対に怒るくせに、あなただったら
、それさえも愛おしく感じられた。
おかしいよね、
ダメなところも素敵だなんて、あなたをガラスの向こうにいる人として見てる。
ダメなところもダメじゃないって、現実逃避ばっか。
君は今、何をしてるのかな?
本を読んでいるかもしれないし、宿題を終わらせてるかもしれない、お風呂に入っているかもしれないし、もう、疲れて眠っちゃってるかもしれない。
君の家に行かない限り、君が今何をしているかは分からないけど、また明日会えるのが楽しみだから、待ち遠しい気持ちもある。
きっと、明日も君が今何をしているのか気になるのだろうけど、次の日会えたら本当に嬉しくなる。
けど、その日突然会えたら、もっと嬉しい。
会えない日が来ちゃったら悲しいから、会える時に、精一杯君と一日一日を過ごしたい。
私は、「命は大切にしなさい」と、きつく大人に教えられてきた。虫も、植物も、動物も命があるんだよって、だから、魚や肉や、野菜を食べる時は感謝しなさいと言われた。私はその通りにした。
「いただきます」も「ごちそうさまでした」も、欠かさず毎回言っていた。
ある日、私はニュースを見た。戦争に関するニュースだった。大人は、命を大切にしろとも言うし、人を殺せとも言う。どっちに従えばいいか分からないから、人を殺すと捕まることを知っていたのもあって、命を大切にする方を信じた。
その時、疑問に思ったことが山ほどあった。
どうして人は戦争をするの?
文化や宗教のせいなのかな?
戦場に行った大人の人は、悲しいだろうな
怪我をしたら痛いだろうな
冬は、ものすごく寒いよな
暖かい所なら良いのかな?
戦争はなんでするのかな?
誰か悪いことをしたのかな?
戦場に行ってなければ死なずに済むのかな?
じゃあ、私は平気なのかな?
辺りが暗闇に包まれ、小さな星が、火花が散るように輝き始めると、私は、太陽が恋しくなった。
昼間は、当たり前のようにそこにあって、いつもパッとしない私を、暖かく、優しく照らしてくれたのに、夜になって、いざ太陽が見えなくなると、心まで暗くなるみたいだった。
ある日の今日も、また夜がやってきた。
空は、コロコロと表情を変える、気分屋だった。
朝は、黄色と緑と水色だったのに、だんだん水色と青になって、そのうち日が暮れると、黄色とオレンジと赤と、そして紫色が混ざった、世界一綺麗なパレットができあがる。夜になると、深すぎる青と、青みがかった黒に染まった。しかし、暗いからこそ、月や星の輝きが増した。
私は夜が、怖くて苦手だったけど、星を見てたら、太陽を見てる時みたいに、元気を貰えた。
星を見ている時の私の瞳は、いくつもの光の粒がこぼしたビーズのように、散らばっていた。