花束は、いろんな花が束ねられている。
暖色の花も、寒色の花も、明るい花も、寂しそうな花も。たくさんの花がひとつにまとめられている。
明るい花が、寂しそうな花に「どうしたの?」と聞いた。寂しそうな花は、「悲しいの、なんでか分からないけど、ものすごく悲しくて寂しくて、ちょっと怖いの」と言った。明るい花は、「悲しいことも、寂しいことも、ちょっと怖いこともあるけど、自分に自信を持てば、ちょっとだけ嬉しくなって、楽しくなるよ」といった。寂しい花は、少し自信をもらった。
自分では好きじゃなかった水色の花びらも、好きじゃなかったジャスミンみたいな香りも、自分の個性だと思った。
花束は、ひとつだけど、束ねられている花は、それぞれ色々な色があって、個性がある。
「スマイル」私はそれを、その場しのぎのための武器として使っていた。
辛い事があると、すぐに笑顔で誤魔化した。
嫌なことをされても、どうしても「やめて」とか言えなくて、すぐにニコッと笑って済ましていた。
けれど、それで嫌なことも、辛いことも、悩みも消えることはなく、なんだか、エスカレートしていくようにも感じていた。
時と場合によって、私はスマイルを剣としても、盾としても使っていた。
そのおかげて、作り笑いが上手くなってしまったようだった。
それが本当に嫌だった。
あれほど素敵で、輝くのが何よりも魅力な笑顔を、
そんなことに使ってしまう自分が、どうしても気に食わなかった。
自分の気持ちはどこにも書けない。
この世界にある言葉では、表せない。
自分で言葉を作ったって、この気持ちは言葉でも、文字でも表せない。
もし、この気持ちを色で表したら濁ってしまうかもしれない。音で表したら不協和音が響くかもしれない。けど、そんな色も、音も、1つの私だと思って、愛してください。
だから、あなたの色も、音も大好きで居る。
それぞれの個性を受け入れたいと思う。
恋している気持ちも、嫉妬してる気持ちも、悲しい気持ちも、嬉しい気持ちも、焦っている気持ちも、どこにも書き表せない。
今はまだ、不協和音の連続だけど、きっと和音の響く時がくるから、私とあなたで、その時をゆっくり待とうよ。あなたの不協和音も、ぐちゃくちゃになったパレットも、綺麗な和音も、綺麗な色も、この気持ちを表せない私も、愛せるよ。
あの時計は、長い針と短い針が、必ず重なる時が来るけれど、私とあなたの針は重ならない。
いつも、15分と45分で、ものすごく距離があいていて、重なるなんて、到底無理で、すれ違うことさえ出来ない。どうして、私はあなたに近ずく事が出来ないの?
あの子とあなたは、何度も重なって、すれ違ったりしてるのに、私は、遠くからあなたを眺めているだけ。目が合っても、すぐに逸らして、そしたらあなたも目をそらす。そして、向こうからやってきた、青空みたいなあの子をあなたは見るの。
そして、あなたとあの子は2人で微笑みあって、「またね」と、言うように、あの子と別れる。
そして、またあなたとあの子はすれ違って、針と針が重なって、それをまた、私は30分も離れたところから見ているだけだった。
あなたに対する気持ちが、溢れてしまって冷めないように、心のコップに入れて蓋をした。
こぼれて冷めてしまったたら、あなたのことを見ていても瞳に光が無くなってしまいそうだから、心のグラスに入れて、こぼれないようにそっと歩いた。
あなたを見るだけで、心がときめいて、無意識のうちにあなたの方を見ていた。目が合うと、目を逸らしてしまうけど、本当は目が合っても2人でじっと見つめあっていたいの。今日も、溢れそうな想いを心で温めながらあなたの後ろ姿を眺めた。