日記を書こうと思う。
何を書けばいいかなんてその時考える事だ。
とりあえず、近くにあったノートに殴り書き。
楽しくなって2ページも埋まってしまった。
ノートの空白が少なくなる度、足を進めている感覚。
しかし、もうちょっと綺麗に字が書けないものか。
明日も明後日も、書こうと思えば日記を付けられる。
日記帳を買ってもいい、自由帳でも良い。
だけれど続いた試しがない。
色んなところを飛び回り、ついついはしゃぐせいで。
言葉に出来ないことが多すぎて嫌になってしまう。
この日記がまた、閉ざされないといいんだけどな。
吹き抜ける風
帰り道、冬の冷たい風が頬を撫でる。
寒いなぁーと思いながらも、正直、悪い気はしない。
寒いのは嫌いだけど、冬は呼吸がしやすい気がして、
いや、呼吸するのが楽しいから、好きだ。
思いっきり息を吸い込めば、肺に冷たい空気が入って涼しくなり、自分の体が暖かかったことを知れる。
そして思いっきり吐いてみると、熱を帯びた白い息がぶわっと目の前に現れて、すぐに消えてしまう。
それだけで気分が上がって、思わず嬉しくなった。
私はやっぱり、まだまだ子供なんだろうな。
君と見上げる月は、どんなに綺麗だろうか。
揺れる船の上、真っ暗な中に月明かりで照らされた海
2人きりの甲板、そこに流れる星空や穏やかな時間。
海の音、風の心地良さ、隣に居る君の息遣いの1つ、
きっとどこを切りとっても眩しい、真っ暗なのにね。
目を瞑っても、息を吸ってもずっと胸が苦しいまま、
ふと、君をすこし見上げてほっとする。
そんな時間、2人きりの静かな時間。
そっと流し目で見る君の横顔に、目を奪れる事だろう
そのままずっと見つめていたいと、
愚直で、安直で、でも素直な気持ちを抱えながら、
自分らしくない、乙女じゃないんだぞと呆れる。
それでも少し、少しだけ顔が熱くなった、
この気持ちが、幸せが、君にバレてしまえばいい。
そうしたら、このまま何も言わずに済む、
このまま君と、退屈で幸せなこの時間を過ごしたい。
何か一言でも話せば、世界が崩れてしまいそうで、
もどかしくて、そんな曖昧な風に揺られている。
目を伏せて海を見つめる。
いつもより多く、ドクドクと高鳴る鼓動を感じる、
顔に当たる風を冷たくて、気持ちいい。
頬杖を付く、なんでもないように自然に、自然に…目線を落として、袖に口元を埋めて。
聞こえないように、ボソッと小さく呟く。
月が綺麗ですね。
言い出せなかったな。
つらい?かなしい?怖い?苦しい?なんでもいいんだ
…そりゃだって苦しいさ、
苦しいって言葉が浮かぶくらいには。
でも”苦しい”の言葉の先が、つっかえる。
喉から出かかるくらい脈略のある言葉が思いつけばよかった。
分かることは、胸が重くなって、
息も思考も何もかもが止まって、
動かなくなる。
この世の居心地の悪さを痛烈なほど植え付けてくるだけの。
この感覚。
そのまま伝わっていたら逆に怖い、
それくらいの重さを、誰かに背負わせるのが重荷だ。
他人事のように、生きずらい人間がいたものだ。と
心の中で呟く。
…あぁ、誤魔化した方が楽だって気づかなければ良かった。
素足のままで、砂浜を走る。
あついのでまともに砂に足をつけない、
しかし、そんなことより海だ!
私は海が好きだった。
なんでかは正直分からない、でも。
何かいつも、真新しいワクワクをくれるから。
なんとなく、海が好きだ。
やっと波打ち際、色が変わった砂に足を置く。
波が動くのが不思議でじっと観察してしまう、
なんでこんな動くんだろ!
そうしているうちに、大きめの波がやってきた。
足の間を流れる波、思ったより勢いがあって怖い、
しかしそんなスリルにもワクワクが勝つ。
直ぐに波が引いていく、逆再生みたいで面白い。
でもちょっと足がくすぐったい!
ウキウキした気持ちのまま、後ろを振り返って。
はしゃいで置いてきてしまった両親を発見する。
「早く来ればいいのに!」