足音がする。
誰のだろうと耳を澄ます。
人の話し声、他にも歩く人のざわめきやあくびの音。
それ以外でも、毛色の違う無機質な音。
ぴ!ガタン…!あ、分かりやすい。
目を向けなくても直ぐに自販機の音と分かる。
しかしどうして沢山人がいる中で、
誰のかも分からない足音が耳に残っているのだろうか
私にもよく分からない、がとても気になる…
まぁ、私の中ではよくある事だけれど。
気が散った矢先、多分飽きたので。
いつもと同じく目線を上げ、電線にさえぎられた青空を観察する。
今日は普通にいい天気だ、いい青色!
感動してそのまま眺めていると、空が狭まり周りが暗くなる。電車と屋根の隙間が少し眩しい。
あれ?早かったな…、と少しハッとする。
電車の内側の窓、上がってきた階段を見つめながら。
…結局誰の足音だったんだろ?
あ、もしかしたら同じ電車かな…!
思わず辺りを見渡してしまうが無駄に決まっている。
気づいて即座にやめると少し恥ずかしくなった。
でもきっと、誰が足音を鳴らしたかじゃなくて。
騒がしい中で、誰かも知らない一人の人間の足音、
それを耳に残して、何かを感じ気に停めた。
この余白の方が、多分もっと知るべきことだ。
あー!人の感性って面白いなぁ〜!!
と素早く切り替えた私は、ワクワクしながら。
景色が流れていくドアの隅に身を寄せるのだった。
8/18/2025, 6:32:11 PM