柊 スイ

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9/2/2023, 12:05:41 PM

私は、正直言ってこの世の誰よりも素敵な人間であると思う。
友達はたくさんいるし、誰からも好かれる。
容姿について悩んだ事もないし、勉強だってできる。
そうはっきりと自信もって言えるのは、"彼"のお陰だった。
私には幼なじみがいた。今となっては彼氏になったのだけど、それはまた置いといて。
彼は、私にはないたくさんの物を持っていた。
私は元々、自分が嫌いだった。
だけど、そんな私をいつも肯定してくれたのは彼だけだった。
そのままでいいよ、自分には嘘つかないでねというのが彼の口癖だった。
私は、彼の事が大好きで大好きで仕方なかった。
彼が、あまりにも魅力的だったから。
ずっと彼と一緒に居たい。

そんな事を思い続けていた矢先。
彼が病気になった。
もう、永くはないらしい。
どうして気づかなかったのだろう。
私が、そばに居たのに。
彼の異変に気づけなかった。

そう自責している私に、彼は優しくこういった。
「君は……………………。」
言い終わった瞬間、涙が溢れて止まらなかった。
嫌だ。おいてかないで。

そんな願いも虚しく。
彼は数時間後に息を引き取った。
彼が最期に私に言ってくれた言葉。
「君は、俺にはもったいない人だ。自分のダメな所を改善しようと必死に生きている。俺にはできない事だ。だけどね、自分の好きな所にも目をやれるようになれたらいいなぁ。少しでいいからさ。」
私は、この言葉が大好きだ。
お陰で、自分の事好きになれたよ。

ねえ、見てるかな?
私、自分の好きな所見つけたよ。
貴方の言葉が、私の心の灯火です。
彼の言葉を胸に、私は彼の分まで息を吸う。

9/1/2023, 8:49:03 PM

(僕視点)
僕は今、猛烈に焦っていた。
とにかく、誰かに連絡しなきゃ。
さっき電話してみたけど、電波が悪いせいか繋がらなかった。
連絡手段……。
「…!LINEは!?」
開こうとしても開けない。
開けないというよりか、送れない、の方が正しいかもしれないが。
友達、家族など、送ろうとしても圏外で送れない。
僕は遂に、街で1人ぼっちになってしまった。

(親視点)
ああ。
まだ死にたくない。
なのに、迫り来る波から逃げられそうにない。

つい先程、この街を大地震が襲ったのだ。
あの子はまだ学校にいるはずだ。
ちゃんと避難できたかしら。
私は、あの子の1人の親だ。
もう何年か前に旦那とは離婚した。
だから、あの子は私の一人息子。
大切な、たった1人の私の子。
そんな子が、末永く幸せに生きられる事を祈ります。
私は、多分逃げられない。
せめて、どうか幸せで。

(僕視点)
友達とも連絡つかない。
僕はつい先程まで、友達と一緒に避難していた。
だが、はぐれてしまった。
連絡手段を探しているうちに、僕は恐らく、街で一番高いところに着いた。
だが、津波というのはとても高いもので。
僕はあっという間に波に飲まれた。
母さん、ごめんなさい。
僕は、生きれそうにありません。
貴女から紡いだ命をこんな形で無駄にしてしまった。
貴女が許してくれるのならば、また来世も、貴女の子供でありたい。
そう切に願った。

9/1/2023, 3:40:57 AM

僕には伸び代がある。
僕はまだ未完成で不完全。
なぜ自分でそう思えるのかというと、僕は僕の事が嫌いだからである。
「自分の事を愛せる人間になりなさい。」なんて綺麗事を大人たちは口を揃えて言ってくる。
僕は僕が嫌いだ。なぜかは分からない。
ただ、自分の事が好きになれたら楽なのではと思う瞬間がある。
思うだけではあるが。
僕が僕の事を嫌いでいるお陰で、「自分」という概念を客観視できるという利点がある。
僕の嫌いだと思っているところは、相手にもそう思われている可能性があるのだ。
いつか、こんな怠惰な自分を好きになれますようにと、切に思う。
こんなふうに思ったことすら明日には忘れているだろうから、ここに書き記しておく。