柊 スイ

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私は、正直言ってこの世の誰よりも素敵な人間であると思う。
友達はたくさんいるし、誰からも好かれる。
容姿について悩んだ事もないし、勉強だってできる。
そうはっきりと自信もって言えるのは、"彼"のお陰だった。
私には幼なじみがいた。今となっては彼氏になったのだけど、それはまた置いといて。
彼は、私にはないたくさんの物を持っていた。
私は元々、自分が嫌いだった。
だけど、そんな私をいつも肯定してくれたのは彼だけだった。
そのままでいいよ、自分には嘘つかないでねというのが彼の口癖だった。
私は、彼の事が大好きで大好きで仕方なかった。
彼が、あまりにも魅力的だったから。
ずっと彼と一緒に居たい。

そんな事を思い続けていた矢先。
彼が病気になった。
もう、永くはないらしい。
どうして気づかなかったのだろう。
私が、そばに居たのに。
彼の異変に気づけなかった。

そう自責している私に、彼は優しくこういった。
「君は……………………。」
言い終わった瞬間、涙が溢れて止まらなかった。
嫌だ。おいてかないで。

そんな願いも虚しく。
彼は数時間後に息を引き取った。
彼が最期に私に言ってくれた言葉。
「君は、俺にはもったいない人だ。自分のダメな所を改善しようと必死に生きている。俺にはできない事だ。だけどね、自分の好きな所にも目をやれるようになれたらいいなぁ。少しでいいからさ。」
私は、この言葉が大好きだ。
お陰で、自分の事好きになれたよ。

ねえ、見てるかな?
私、自分の好きな所見つけたよ。
貴方の言葉が、私の心の灯火です。
彼の言葉を胸に、私は彼の分まで息を吸う。

9/2/2023, 12:05:41 PM