柊 スイ

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(僕視点)
僕は今、猛烈に焦っていた。
とにかく、誰かに連絡しなきゃ。
さっき電話してみたけど、電波が悪いせいか繋がらなかった。
連絡手段……。
「…!LINEは!?」
開こうとしても開けない。
開けないというよりか、送れない、の方が正しいかもしれないが。
友達、家族など、送ろうとしても圏外で送れない。
僕は遂に、街で1人ぼっちになってしまった。

(親視点)
ああ。
まだ死にたくない。
なのに、迫り来る波から逃げられそうにない。

つい先程、この街を大地震が襲ったのだ。
あの子はまだ学校にいるはずだ。
ちゃんと避難できたかしら。
私は、あの子の1人の親だ。
もう何年か前に旦那とは離婚した。
だから、あの子は私の一人息子。
大切な、たった1人の私の子。
そんな子が、末永く幸せに生きられる事を祈ります。
私は、多分逃げられない。
せめて、どうか幸せで。

(僕視点)
友達とも連絡つかない。
僕はつい先程まで、友達と一緒に避難していた。
だが、はぐれてしまった。
連絡手段を探しているうちに、僕は恐らく、街で一番高いところに着いた。
だが、津波というのはとても高いもので。
僕はあっという間に波に飲まれた。
母さん、ごめんなさい。
僕は、生きれそうにありません。
貴女から紡いだ命をこんな形で無駄にしてしまった。
貴女が許してくれるのならば、また来世も、貴女の子供でありたい。
そう切に願った。

9/1/2023, 8:49:03 PM