入木

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4/13/2025, 3:46:22 PM

足取りは左右にふらついて。
意識も同じか。
ふらりと落ちる。
アスファルトは冷たい。

ひとひらの命なら、
桜の花のように散りたかった。
ひとひらの花なら、
皆と一緒に散れたのか。
ひとひらの葉なら、
さよならは言わずにいれたのか。
ひとひらの紙なら、
何かを残せたのだろうか。

そのままでいる。
ひとひらのままで。

#ひとひら

4/5/2025, 3:53:44 PM

「ただ歩いただけなんだ」
彼女は長い髪をまだ冷たい風を、
髪に纏わらせて言う。
「何処に行きたかった訳でもないんだ」
桜の花びらは逃すまいにと、
彼女に執念深く纏わりついて。
「行きたい場所を選んだんじゃ無いんだ」
こらえる様に語る声とは裏腹に、
薄笑いの様な自笑する様な表情で。
「行ける場所を選んだんだ、
この身のままで、描いたままで受け入れられる様な所を」
自笑は深くなり、口先の歪みと目の潤みが深くなる。
「描けるなら良かった、ずっと望まれた姿で」
潤みは水滴へと姿を変えて、彼女の頬を伝っていく。
「なんでそんな風に生きられなかったんだろう」
自笑の笑みは無くなり、彼女がかつて嘲笑した、
泣き声が遠く聞こえる。
「もう疲れたよ」
少女の声で呟く。
かつて冷笑を浴びせた声で。
「君なら解ってくれる?」
縋るような声で、少女はそう言った。

#好きだよ

4/3/2025, 4:54:28 PM

ここは冷たくて、鉛の様に重たい。
寂しさが針の様に刺しても、
その冷たさのせいにしては、
目を背ける日々です。

明くる朝には消え去ろう。
明くる日と共に消え去ろう。
悲しみが対価がそれらなら、
日はその為に登るのか。

それらが君の対価なら、
それらと共に立ち去ろう。
夜と共に消え去ろう。

明くる日の朝ならば、
それが対価になるのなら。

君がそれの対価なら、
僕も共に消え去ろう。
夜と共に消え去ろう。

それが対価になるのなら。

#君と

4/2/2025, 4:37:47 PM

鳥が死んでいた。
寒さの残る朝の霜の下で
そっと躯の霜を払う

目を閉じたその顔は
眠るように見えた

お前も疲れたか
俺も疲れたよ
おやすみと
一つ労る

そう言われたかったか
俺もそうだったよ
掌に抱き上げた
体は氷のように冷たく

背を押すように
そっと空にかざした

高く飛べるようにと

#空に向かって

1/29/2025, 2:49:58 PM

朝を見ていた。
日は薄く昇って。
光を見ていた。
憐れみに似た感情で。

空を見ていた。
薄ぼやけの果ての黒を。
夜を見ていた。
追いやられていく背を。

ここに日は届かないから、
夜もここに来たらいいのに。

そおっと生きている。
#日陰

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