悲しみがいつかの夢なら
さよならは在りし日の未来か
吹き曝しの窓にかかる月は薄い
明日はきっと雨だろう
窓を閉める夢を見る
あるいはそれは過去か
#遠い日の記憶
線をたどる。
歪な掠れた線を。
あの青の意味を教えて。
夏空も暗く沈むなら。
線をたどる。
足取りも歪んで。
あの夜の意味を教えて。
いつか夜も明けるなら。
線をたどる。
泥濘に淀んで。
意味を教えて。
それに意味がないなら。
線は途切れて。
#どうすればいいの?
過ぎ去る季節ばかり思い出す。
だから歳ばかりとるのか。
枯れた落ち葉さえも見当たらない。
無くしたものばかり覚えてる。
だから後悔ばかり増えるのか。
手にしたものは何だったか。
さよならばかり思い出す。
だから冬ばかり思い出す。
幸せばかりが見つからず。
せめて雪で隠してくれ。
#はなればなれ
仲良しこよしで、手を取り合ってなんて、
そりゃ無理だよな、違う生きもんだからな。
優しくなんてさ、思い合ってとかさ、
そりゃ無理だよな、違う人だからな。
生まれてきた環境や、育ってきた所が違うから。
上手く分かち合え無い、そりゃそうだよな。
全部同じだったら、同じ気持ちだったかな、
そんなわけ無いよな、そりゃ違うよな。
形が一緒なら、啀み合いも無かったが、
形が違うから、きっと好きに慣れたな。
優しさだけじゃむず痒くて
痛みだけじゃきっと辛くて
似ているようで違うから
きっと愛し合えたような
そんな気がする、そんな気がする
許すだけじゃあ辛いから
責め合うだけも違うから
きっと愛し合えた、きっと分かち合えた
君の手をつないで、なんか分かち合えた。
さよならだけじゃ辛いから。
愛してるなんて言ったのか。
手を取り合って、生きていけたのにな。
#手を取り合って
流れる人の波を見ていた。
無表情に過ぎる、群れるのに孤独で、
過ぎれば消える、一つの塊に変って。
端から見る俺も、それの一部だろう。
自覚する自分に、否定する己がいた。
流れる人の波を見ていた。
交わるは苦痛か、だが孤独は恐れた。
一人で生きても、群れにまた潜った。
群衆は海に似て、俺もまた水だった、
群れに流されて、何れ波になっても。
流れる人の波を見ていた
俺もそこへ行くのか
窓越しに眺めた、それは許しか。
少なくとも救いではない。
#窓越しに見えるのは